社説:日朝協議 平壌宣言の原点に戻れ

毎日新聞 2012年09月02日 02時31分

 08年8月以来となる日本と北朝鮮の外務当局間の協議が北京で3日間にわたって行われ、課長級から局長級に格上げした本格的な協議を早期に開催することなどで合意した。この流れを停滞してきた日朝関係打開へとつなげてほしい。

 4年ぶりに対話の扉を開いたきっかけは遺骨問題だった。

 北朝鮮には終戦前後に亡くなった日本人の遺骨が2万柱以上残っているとされるが、国交がないことなどで遺骨収集や遺族の墓参問題は長いあいだ置き去りにされてきた。両国の赤十字が8月初旬にこれについて話し合い、双方の政府が関与を強めることで一致したことが今回の政府間協議につながった。

 遺骨問題の話し合いは北朝鮮が昨年から打診していた。北朝鮮にはこれを呼び水に日本との政府間協議を再開し、経済支援などにつなげる狙いがあったとみられる。

 ただ、北朝鮮側のそうした政治的な思惑を抜きにしても、日本人の遺骨収集や墓参の実現は放置できない人道上の問題である。遺族は高齢化が進んでおり、政府は責任を持って対処してもらいたい。

 その一方で、政府間協議を本格化させる以上、重要なのは拉致問題の解決だ。今回の課長級協議では、次回は「双方が関心を有する事項」を協議するとの表現で、拉致問題も対象にする方向となった。

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