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逮捕容疑を虚偽発表 「暴行」実は「誘拐、強制わいせつ」

 福島県警いわき東署がいわき市の無職男(37)を誘拐、強制わいせつの疑いで逮捕しながら、「暴行容疑で逮捕した」と、事実と異なる報道発表をしたことが分かった。被害者の同市の小学2年女児(7)に配慮したことを理由に挙げている。福島県警は虚偽発表を認め、20日、発表を訂正した。
 県警によると、東署は男が8日午後5時ごろ、いわき市小名浜のショッピングセンターで女児に声を掛け、軽乗用車に乗せて約30分間連れ回し、車内で下半身を触るなどしたとして17日、誘拐、強制わいせつ容疑で逮捕した。
 ところが、同日の報道発表では罪名を暴行にし、逮捕容疑も「手をつかむなどした」との内容にとどめた。20日に県警捜査1課幹部が事実と発表内容の違いに気付いて不適切と判断し、正確な内容であらためて発表した。
 東署の小宅新一副署長は不正確な発表をした理由について「女児に配慮した」と説明する。暴行事件として発表することは「県警捜査1課の了解を得た」とし「最初から正しく発表していれば何の問題もなかった」と話している。
 県警の話では、同時期に福島県会津美里町で起きた強盗殺人事件の捜査で忙殺され、発表のチェックを怠ったという。
 逮捕権は公権力の中で最も強大な権力。それだけに透明性が求められるが、東署は故意に事実と違う発表をし、県警の点検機能も働かなかった。
 捜査1課の竹中淳一課長は「正しくない発表をし、謝罪したい。今後はチェック漏れをなくし、再発防止に努める」と述べている。
 元東京高裁判事の川上拓一早稲田大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「被害者保護のため捜査当局が抽象的に発表することはあるが、今回の事件は肩が触れただけでも成立しうる暴行罪とは全く質が異なる。被害者保護は性犯罪で特に求められるが、事件の概要や罪名まで配慮しすぎると真相から懸け離れる」と指摘している。


2012年08月21日火曜日


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