◎マッキーの「海の常識」

 第37回目「船の運転免許証その1 大型船」(322日放送)

 

 船の運転免許証は、総トン数20トンを境に、大型船と小型船に分かれます。大型とか小型とか、車の運転免許証と同じと思うかも知れませんが、船では、大型船の運転免許証を持っていても、小型船の運転はできません。

 きょうは、大型船の運転免許証、「海技免状」のことについて、説明します。

 

 大型船の船長(航海士)、機関長(機関士)、通信長(通信士)(これらの者を、「船舶職員」という)になるには、法律で定められた資格(船の運転免許)が必要です。ちなみに、船舶職員以外の船員なら、船を運転するための資格を必要としません。(その意味では、誰でも、船員になれます。)

 この資格(船の運転免許)を、「海技士」(かいぎし)の免許(海技免許)といい、航海、機関、通信の3分野があり、更に、航海、機関では16級の6種類、通信では13級の3種類があり、「1級海技士(航海)」などといいます。

 海技免許を取得するには、海技士国家試験(海技試験)に合格し、人命救助などの知識能力を内容とする講習を修了しなければなりません。

 海技試験は、学科試験身体検査からなり、身体検査に合格しないと、学科試験は受験できません。更に、学科試験は、筆記試験口述試験とからなり、筆記試験に合格しないと、口述試験は受験できません。(ただし、筆記試験は、一定の制限はあるものの、単独先行受験ができます。また、筆記試験合格の有効期間は15年で、筆記試験の科目合格は2年です。)これらのすべてに合格して、はじめて海技試験の合格となります。

 また、海技試験は、一定の乗船勤務(「乗船履歴」といい、受験する海技試験により、船の大きさ、職務、期間が決まっています。)がなければ、受験できません。(私も、筆記試験に合格後、乗船して履歴をつけ、それから、身体検査と口述試験を受験しました。)

 海技免許を取得すれば、申請により、船の運転免許証、「海技免状」が交付されます。海技免状の有効期間は5年で、有効期間の切れる1年前から、更新ができます。更新を忘れれば、再交付申請となります。(免許は終身有効で、ここが、車と違う点です。)

 海技免状の種類により、乗れる船と乗れない船があります。それらは、船の航行区域(世界中の海を航海できる「遠洋区域」、アジア地域の「近海区域」、日本周辺の「沿海区域」、港内や湾内の「平水区域」に分かれています。)、総トン数、エンジンの馬力(キロワット)などで、区分されます。1級の海技免状なら、数万トンの外航船などすべての船の船長になれますし、300トンの内航船の船長なら、4級の海技免状があればOKです。

 

 きょうのおさらいです。「大型船の運転免許証は、海技免状といい、航海、機関では1級から6級まで、通信では1級から3級まであり、級により乗船できる船とできない船がある。1級の海技免状なら、あらゆる船に乗船できる。」おさらいPart  2海技免状を持っている人は、怪しげ会議を開く。(海技−−−−−懐疑会議)」

 以上、「マッキーの海の常識」でした。次回は、「船の運転免許証その2 小型船」です。では、ボンボヤージュ!