国境離島:「竹島」「尖閣」だけではない 実効支配、有名無実 長崎・五島市の視察に同行
毎日新聞 2012年08月12日 西部朝刊
◇男女群島は無人灯台、鳥島は何もない絶海の孤島
竹島や尖閣諸島などでクローズアップされている国境離島。東シナ海に浮かび、九州最西端に位置する長崎県の無人島、男女群島と鳥島もその一つだ。特に鳥島には実効支配を示す構造物がなく、周辺を操業する日本漁船も少ない。男女群島、鳥島を通じ、管理・監視が困難な国境離島の現状が垣間見えた。【椿山公】
男女群島、鳥島はほとんどが国有地。島を抱える長崎県五島市が、国境離島の役割と現状を再認識するツアーを企画したため同行した。市議、公募市民ら参加者53人は7月28日、五島列島・福江島の福江港から南西約80キロの男女群島・女島(めしま)に向かった。
船で約3時間、眼前に島が現れた。港はなく、瀬渡しでコンクリートブロックで造られた粗末な船着き場に上陸。見学した灯台は06年に無人化され、長崎海上保安部が管理と気象観測を続ける。灯台近くには中国語と韓国語で「ここは日本の領土。許可なく上陸すれば、日本の法律により逮捕する」と記した看板が設置されていた。