のぼりべつクマ牧場のボスグマが今年も決まらず、2年連続の不在となった。400キロを超える19代目ボス・サチオ(13)の返り咲きや、6頭いる6歳からの台頭も期待されたが、実力不足で決定には至らず。ボス不在は争いの増加など、群れが不安定になることもあり、関係者は成長を期待している。
ボスは、雄が放し飼いされている第1牧場(12頭)の1番の実力者のこと。野生のヒグマは単独行動のためボスはいないが、施設では発情期の5〜7月中旬になると、木などに背中をこすり付け、縄張りを誇示するマーキングや威嚇、攻撃による争いが起こり、個体の順位が決まる。
ボスになると、定期的に牧場内を見回る巡回行動や、争いの仲裁行動が見られるようになる。自らの力を見せつけるように見回る巡回などにより、ほかのクマはボスのとばっちりを受けないよう、争いを控えるようになり、結果として牧場内の安定につながるという。
今年は候補筆頭格だった双子のレッド(13)とホクト(13)、18代目ボスのゲンキ(11)がペアリング選定個体としてボス争いを欠場。サチオも優しい性格が出て、争いに興味を示さない。若い6歳組が小競り合いを展開したが、実力不足で他の仲間に認められることはなかった。
ただ、ペアリングが終了した候補筆頭格の3頭が今後戻ることから、発情期終了後に新たな動きが出る可能性もあるという。鳴海誠飼育係長は「6歳組は体格はいいが、まだ幼さを感じる。ボス不在は昭和62年、昨年に続き3回目だが、2年連続は初めて。候補の成長を願っている」と話していた。
(鞠子理人)
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