ニュースの匠:韓国大統領の竹島上陸=鳥越俊太郎
毎日新聞 2012年09月01日 東京朝刊
近代史の中でナショナリズムが大きく盛り上がるのは、発展途上の“若い国”に見られる現象です。それは、それまで国際的に低い立場に置かれていたことへの意識−劣等感の裏返しとして「オレたちにはこんな力もあるんだぞ」という過剰な愛国心となって国民全体を巻き込むことになります。ここに領土紛争が絡んでくると、さらに排外主義的愛国心となって国民の心を揺さぶり、最後は国のリーダーでさえコントロール不能となり、やがては軍事的衝突−つまり戦争へと突き進んでしまいます。
こういう時の国のリーダーたる者は、排外主義的愛国心をあおるべきではありません。抑制的な態度で国民に接するのが、近代史から教訓を学び取ったリーダーのあるべき姿だと思います。
韓国はもはや若い国とは言えません。成熟した国の入り口に立っていると言えるでしょう。その意味では韓国国民全体に「反日」の排外主義が発現する可能性は低くなっているとも言えます。
しかし、日本と朝鮮半島の不幸な歴史からすると、依然として「反日」ナショナリズムのしっぽは残っているでしょう。そんな微妙なこの時期、李明博大統領は“残り火”に油を注ぐような愚かな行為をなぜ繰り返すのでしょうか。