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社会的弱者の立場に立つ!弁護団団長 飯田昭弁護士

全国初「医療観察病棟 住民訴訟」

弁護団団長 飯田 昭弁護士(京都第一法律事務所)の紹介

http://www.daiichi.gr.jp/lawyer/iida.html

担当した主な開発・環境・まちづくりをめぐる事件

  • 一条山弁護団(事務局長)
  • 水俣病京都訴訟弁護団
  • 市原野ごみ焼却場差止め訴訟・住民訴訟弁護団(事務局長、まきえや2006秋、まきえや2005秋)
  • コープ鴨川暴力団追放訴訟弁護団(事務局長)
  • 京都駅ビル事件弁護団(事務局長)
  • 半鐘山弁護団(団長、まきえや2003秋、まきえや2007春)
  • 船岡山マンション問題弁護団(団長)
  • マンション(建築紛争・管理)、まちづくり関係事件(多数)
  • 上高野葬儀場の建設に反対!~京都市に審査請求~
  • 欠陥住宅+不適切排水路工事~業者と京都市の連帯責任を認める判決~(まきえや2006秋)
  • 仰木の里(幸福の科学学園進出問題)弁護団(団長)
  • 青山学区(医療観察病棟建設問題)弁護団(団長)

担当した主な消費者事件

  • レンタルハウス被害対策弁護団(幹事)
  • クレジット・サラ金問題対策協議会(幹事。事件多数)
  • 欠陥住宅事件(京都ネット幹事。事件多数、まきえや・2006春)
  • マンション分譲会社倒産による管理費「二重請求」問題~管理会社を提訴~

担当した主な労働事件

  • 日立エレベーター事件(組合間賃金差別事件)など。

担当した主な労災事件

  • JR運転士の自殺労災事件(まきえや2003春)など。

弁護士会関係の主な活動

  • 日弁連
    • (現在)公害対策・環境保全委員会委員
    • (経験)消費者問題対策委員会委員
    • (経験)倒産法制検討委員会委員
  • 京都弁護士会
    • 副会長(1998年度)
    • 弁護士偏在問題対策委員会委員長
    • 公害対策・環境委員会委員(元委員長)
    • 消費者保護委員会委員(元委員長)
    • 法律相談センター運営委員会委員(元副委員長)
    • 消費者・サラ金被害救済センター運営委員会(元委員長)

主な著書

  • 「歴史都市京都の保全・再生のために」(飯田昭・南部孝男著 文理閣)
  • 「京の自然保護とまちづくり」(京都弁護士会公害対策・環境保全委員会編 分担執筆 京都新聞社)
  • 「暴力団と戦った1201日」(コープ鴨川弁護団 分担執筆 かもがわ出版)
  • 「要点解説 改正破産法」(日弁連倒産法制検討委員会 分担執筆 商事法務)
  • 「個人再生手続マニュアル」(日弁連倒産法制検討委員会 分担執筆 商事法務)
  • 「QandA個人再生手続き」(日弁連倒産法制検討委員会 分担執筆 三省堂)
  • 「個人再生法の実務」(分担執筆 きんざい)
  • 「科学者のための法律相談」(京都第一法律事務所 分担執筆 科学同人)
  • 研究室から危険なウイルスが外部に漏れた!
  • 研究論文を他人に盗用され雑誌に掲載された!
  • 大学構内でセクシャル・ハラスメントが発覚した…
  • 化学反応による異臭で住民が避難・・・

大学関係

  • 立命館大学法学部非常勤講師(3回生「環境法演習」、4回生卒業論文指導担当。2005年~現在)
  • 京都大学大学院法学研究科非常勤講師(2002年~2004年。「現代社会と弁護士」担当)

その他の公的活動

  • 京都府消費生活審議会委員
  • 京都簡易裁判所調停委員
  • 景観と住環境を考える全国ネットワーク運営委員

嘉田知事への住民訴訟(結論)

第5.結論

以上より、本件病棟の建設に関して既に支出された46,129,650円(支払日:平成23年11月30日)及び15,951,600円(支払日:平成24年4月19日)の合計62,081,250円が滋賀県の損害となるから、被告滋賀県知事は、支出先である株式会社内藤設計及び株式会社勝村建設工業に対して、かかる金額及びそれぞれの代金支払日である平成23年11月30日及び平成24年4月19日から、民事法定利率年5パーセントの割合による遅延損害金の支払いを請求する法律上の義務を負う。

また、既に本件病棟の建設に関して建設工事に関する費用が一部支出されている以上、残りの工事費用についても、支出が相当の確実さをもって予測される状況にある。

よって、本訴請求に及ぶ次第である。

嘉田知事への住民訴訟(滋賀県主催の説明会における虚偽の説明)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「滋賀県主催の説明会における虚偽の説明」である。

2 滋賀県主催の説明会における虚偽の説明

滋賀県は本件病棟設置に関する説明会において、概要以下のとおり説明した。①医療観察法施行後、重大な再犯事件が起きていないこと、②本件病棟は、精神障害者の福祉向上の為に必要な施設であること、③既に本件病棟の建設を行うことは決定事項であり、国からの命令で行っていることに過ぎず、滋賀県はその代理者であること、④近隣住民へは、内容、回数とも誠意をもって説明した(平成24年1月31日定例記者会見)。

しかし、①については、心神喪失者等医療観察法に基づく入院治療を経たけれども再度犯罪を起こした事例は実際に生じており、滋賀県は、住民からの指摘を受けて、その誤りを認めている。②については、滋賀県精神障害者家族会連合会や、日本精神科病院協会滋賀県支部が本件病棟の建設について反対の意向を示している。③については、本件病棟の建設に関しては、厚生労働省と法務省の共同管轄による事業であるが、現時点においては、本件病棟の設置依頼がなされているだけであり決定事項ではない。④については、住民への説明会が最も多く開催された青山学区でも4回に過ぎない。さらに瀬田の4学区(瀬田、瀬田東、瀬田北、瀬田南)では、自治連合会長8名といった少数の住民に対してのみ説明が行われただけであり、到底、内容、回数とも誠意をもって説明したとは言えない。

よって、滋賀県は本件病棟設置に関する説明会において住民に対して虚偽の説明を行ったといえる。

 

3 小括

上述のとおり、地域住民等への理解と協力を求めるための計画前の適切な説明が本来必要であるが、実際には行われていないどころか、滋賀県は住民に対して虚偽の説明を行った。かかる滋賀県の対応は「地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない」と定めた医療観察法109条やこれを具体化し地域連携を定めた上記各ガイドラインに違反し、違法である。

 

嘉田知事への住民訴訟(違法性/地域連携違反)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「違法性/地域連携違反」である。

第4 地域連携違反

1 医療観察法第109条とガイドラインの定め

医療観察法第109条(民間団体等との連携協力)では、「保護観察所の長は、個人又は民間の団体が第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者の処遇の円滑な実施のため自発的に行う活動を促進するとともに、これらの個人又は民間の団体との連携協力の下、当該決定を受けた者の円滑な社会復帰に対する地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない」と定められ、地域住民の理解と協力を得るべきであることが明示されている。

また、医療観察法の施行とあわせて、法律の目的に沿って制度が適切に運用されるよう基本的な事項や手続きを定めた2つのガイドラインが制定された。

法務省と厚生労働省発行の「地域社会における処遇のガイドライン」は、地方裁判所の審判で通院決定を受けた者や指定入院医療機関の退院許可決定を受けた者を対象としてその居住地における通院医療を中心とした処遇に関する取扱いを定めたものであるが、そこには「地域住民等への配慮」が明示されている。

そして、厚生労働省発行の「指定入院医療機関運営ガイドライン」は、指定入院医療機関の役割をはじめ入院決定から退院までの事務の流れや入院中の処遇など職員が事務手続きを行う際に留意すべき事項等を定めたものであるが、そこには、「地域連携体制の確保」として①通常時における地元自治体、関係機関等との連携、②緊急時における対応体制の確保が示されている。

こうした社会復帰を促進することを目的とする法律の運営にあたっては、地域住民等への理解と協力を求めるための計画前の適切な説明が本来必要であるが、実際には行われていない。

嘉田知事への住民訴訟(違法性/必要最小限度の原則違反)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「違法性/必要最小限度の原則違反」である。

3 必要最小限度の原則(地方財政法4条1項)違反

地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない(地方財政法4条1項)。

本件では、滋賀県に居住を予定している入院対象者数は、平成22年度資料では3名にすぎない(出典~法務省HP統計表一覧:観察所別 居住地における生活環境調整事件の開始及び終結)。滋賀県での入院対象者が3名しかいないのに、本件病棟の建設計画では23床を予定していることの妥当性は全く見当たらない。そもそも、国はこの医療観察病棟建設について、全ての都道府県において整備を目指すとしており、滋賀県であれば、滋賀県の地域実情と対象者数を鑑みて、計画を立案しなければならない。整備については、平成17年10月に厚生労働省が各都道府県に14床以下の病棟も認めると通知しており、現在でも、5床しかない病棟の県もある。実態にそぐわない本件病棟の建設への公金の支出は必要最小限度の原則に反し、違法である。

嘉田知事への住民訴訟(違法性/建築基準法6条違反)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「違法性/建築基準法6条違反」である。

2 建築基準法6条違反

本件病棟は、平成23年9月5日に実施された説明会から一貫して、既存の病院施設の横に建設はするが、構造的且つ頑強なセキュリティーにより既存の病院施設とは隔絶された建物であるとの説明があった。かかる説明及び本件病棟が医療観察病棟施設であることからすれば、既存の通常病院施設とは機能的に全く別の建物であり、本件病棟の建築は建築物の「新築」にあたる。

建築物の構造上も、本件病棟は、これまで駐車場であった空地に、既存病棟とは切り離された別棟として医療観察病棟を新たに建築し、既存の病棟とは渡り廊下で接続はするものの堅固な鉄扉で厳重に閉鎖することにより、医療観察病棟から既存の病棟へは特別な解除措置がない限り通行できないものとなっている。

本件病棟の建設計画を説明する「平成22年度心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関施設整備計画個表」でも「施設の規模及び構造等」という欄に「新設」と明記されており、前述の内容と合致する。

また、工事入札情報においても、「工事・委託名称」欄に「病棟新築工事」と明記されている。

しかしながら、平成24年4月6日付で提出された計画通知(建築確認申請)においては「工事種別」は「新築」ではなく「増築」とされている。 つまり、滋賀県が建築主として本来「新築」として申請すべきものを「増築」として客観的な実態と異なる申請を意図的に行っている。建築基準法6条による申請は、客観的な事実と適合する申請を前提にしており、客観的な実態と異なる申請は同条に違反する。

嘉田知事への住民訴訟(違法性/都市計画法43条違反)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「違法性/都市計画法43条違反」である。

第3 違法性

1 都市計画法43条違反

本件病棟が建設される地域は市街化調整区域にあたる。都市計画法43条1項本文には「何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、……建築物を新築し、…また、建築物を改築し、又はその用途を変更して…はならない」と定められている。

同条の趣旨は、市街化調整区域においては、「開発許可」の対象となる「開発行為」(=「土地の区画形質の変更」)には該当しない程度の建築物の新築はもとより、建築物の増築、改築及び用途の変更についても、行政庁(本件では草津市)の建築許可にかからしめることにより、市街化調整区域における建築・開発の防止を徹底しようとしたものである。

本件では、そもそも、県立精神医療センターを従前に設置する際には、(従前の都計法の定めにより)開発許可を受けておらず、その為、本件病棟の立地についての適切な地域説明もなされていない。平成18年都計法改正により、新たに建設を行うに際して、あらためて(権限移譲により、草津市の所管となっている)草津市長の許可を得る必要がある。にもかかわらず、開発許可も建築許可も受けないで、建築確認だけで、本件病棟の建設の着工をしようとしている。このため、草津市としての適切な開発判断引いては立地基準についての地域住民への説明機会すら設けられていない。

本件病棟は、下記2記載の通り、建築物の「新築」に該当することから、少なくとも草津市長の建築許可が必要であることは明らかである。

仮に、「新築」に該当せず、「増築」にとどまるとしたとしても、都計法43条1項本文の「改築」には該当し、建築許可を受けることが必要である。

また、これまでの一般病棟とは、性質も内容も全く異なる、心神喪失者医療観察法に基づいた厳重に管理された拘禁施設を建設するのであるから、「用途の変更」として草津市長の建築許可が必要であることは明らかである。

よって、都市計画法43条1項本文に反する。

嘉田知事への住民訴訟(事件の概要)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「事件の概要など」である。

1 事件の概要
被告は、草津市笠山八丁目4番25号の滋賀県精神医療センター敷地内に、触法精神障害者の「医療観察病棟」(以下、「本件病棟」という)を2013(平成25)年度に開設することを目指して着工する方針を示した。本件病棟は、心神喪失者等医療観察法に基づき、殺人や放火など重大事件を起こしながら刑事責任を問えない精神障害者の入院施設である。なお、同法は、心神喪失または心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とし、平成15(2003)年7月16日法律第110号として公布され、平成17(2995)年7月15日に施行されている。

しかしながら、滋賀県が本件病棟建設のため既に行った、また、行おうとしている公金の支出は、以下に述べるとおり違法なものである。

2 住民監査請求とその結果
原告らを含む3154名の住民は、2012(平成24)年5月2日付及び同年5月30日付で住民監査請求を行い、うち2526名が受理されたが、同年7日9日付で却下された。

3 既に支出された公金の金額
住民監査請求の結果明らかとなったものであるが、滋賀県が本件病棟の建設のために既に行った公金の支出としては、株式会社内藤設計に対し平成23年11月30日に46,129,650円を清算払いで支出し(委託業務の名称:平成22年度設委第35号精神医療センター医療観察法病棟建設設計委託)、及び、株式会社勝村建設工業に対し平成24年4月19日に15,951,600円を支出していることから(工事の名称:平成23年度第136号精神医療センター医療観察法病棟新築に伴う付属棟改築その他工事)、合計で62,081,250円となる。

4 今後、公金の支出が確実に予測されること
既に本件病棟の建設に関して建設工事に関する費用が工事計画にそって一部支出されている以上、残りの工事費用についても、支出が相当の確実さをもって予測される状況にある。

嘉田知事への住民訴訟(請求の原因)

下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「請求の原因」である。

<請求の原因>

第1 当事者及び原告らが居住する地域の特徴・問題の経過

1 当事者

(1)原告らは、草津市笠山八丁目4番25号の滋賀県精神医療センター周辺に居住する住民である。

(2)被告は、滋賀県知事の地位にあるものである。

2 原告らが居住する地域の特徴

医療観察病棟建設予定地は、滋賀県が昭和54年に「びわこ文化公園都市構想」により位置づけられた文化公園都市の福祉ゾーンに存在し、我々が住まう「飛島グリーンヒル」は、福祉ゾーンを取り巻く大規模な住宅ゾーンとして、飛島都市開発株式会社が開発した滋賀県でも最大規模の閑静なニュータウンである。

昭和54年3月大津湖南都市計画事業として認可され、173ha(甲子園球場45個分)  5千戸2万人の街として、昭和56年工事着工、昭和58年12月より入居を開始して28年経過している。平成24年4月現在、草津市若草地区 834世帯 2,439名、大津市青山・松が丘地区が2,714 世帯 9,886名、大津市・草津市合計で3,548世帯 12,325名が生活する大きな住宅地となっている。

この地域は、街のシンボルとなっている里山の「牟礼山」を中心として、四季折々の樹木や花で彩られた緑地ゾーンや、多くの緑歩道が配置され、滋賀県でも有数の緑豊かで閑静な住宅街を構成している。平成21年には、青山・松が丘を含め財団法人住宅生産振興財団が毎年主催する全国最大規模のまち並みコンペである「住まいのまちなみコンクール」で優秀賞を受賞するなど、緑溢れるきれいな街並みとしての高い評価を受けている。

特に、大津市行政区においては、人口は9,886人、世帯数3,092世帯、幼年人口比率が24.3%となっており、学区別の子どもの割合は、大津市内36学区中1位と、子育て世帯の大変多い地域である。また近隣には、立命館大学びわこキャンパスと、龍谷大学瀬田学舎もあり、多くの若い学生が行き交い、学生の活力溢れる街にもなって来ている。

 

3 問題の経過

この地域が、自然環境と調和を保ち、子供や学生の活気溢れる共生社会を目指したまちづくりをしながら歩んできた最中、22年9月、突然に、医療観察病棟建設計画が、新聞報道として取り上げられた。大方の住民は、そうした事実すら知らず、新聞報道で知った住民も、報道記事に記載があるように、近日中に説明会が開催されるものと思っていた。

しかし、数か月が経っても滋賀県からは何の連絡もなく、この計画を知った住民たちが説明会開催を再三要望し23年9月になってやっと説明会が実施された。

説明会では、地域の同意や理解を得られなくても進めるという県職員の一方的な発言と、事実でない説明を繰り返した対応から、住民の不信感が増幅する原因を作ることになった。

また、近隣にある福祉ゾーンとの共生を築きあげてきた住民にとって「医療観察病棟建設計画」は、精神障害者に対する無用な偏見を助長することにもなり、国が理想とする「共生社会」の実現が困難なものとして変容してきている。

この医療観察病棟建設計画は、地元住民だけでなく、精神障害者関係団体なども反対の意向を示し、精神障害者の社会復帰のために・・と繰り返し発言してきた嘉田知事や県に対して、住民はその説明に到底納得が出来ないものとなり、周辺地域の自治連合会としても、医療観察病棟建設反対を幾度となく訴えるも、滋賀県は全く対応すらせず、平成24年1月31日に、「大方の地域合意が得られたとして建築確認を申請する・・」という記者会見を、嘉田知事自らが行い、建設推進の動きが加速していく中、地域住民としては住民監査請求を行わざるを得ない事態へと至った。

周辺地域への住民説明は十分に行ったと滋賀県側が主張するが、大津市瀬田4学区(約6万人の人口)に対しては、出席者8名しかいないような説明機会しか設けていない実態が散見され、更に滋賀県は29回もの住民説明会を実施したと主張しているが、実質的な住民説明会は8回のみである。

「見直しは必要ない」に、障害者関係団体の怒り

法務省と厚労省が、医療観察法附則4条の5年目見直し規定に関して、この7月にやっとヒアリングを終了させ、報告書を提出した。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002gk0i-att/2r9852000002gk49.pdf#search=医療観察法ヒアリング’

厚労省と法務省では、16人の関係者にヒアリングをしている。

その結果として、医療観察法の施行状況は、おおむね良好であり、社会復帰を促進するという目的に照らし、有効に機能していると述べてい

る。そのため、現時点で早急に医療観察法を改正すべきものとまでは認められないが、医療観察制度に関して、いくつかの課題も指摘されて

いることから、今後の検討結果を踏まえて、引き続き必要な取組を進めていくとまとめている。

 

このヒアリングの結果に対して、障害者関係団体は怒りの声を上げている。

http://ikari-net.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-bebf.html

障害者関係団体は、今、精神医療を覆っている医療崩壊と精神科医がいなくなりつつある現状に言及している。

また、精神医療国家予算の大半が観察法につぎ込まれ、精神医療の貧困の最大の原因になっていると問題提起している。

 

嘉田知事の迷走

嘉田知事が、新駅問題で迷走している。元々発言の軽い知事ではあったが、ここ数か月の知事の言動に、県民は振り回され、怒りと困惑であ

きれかえっている。この新駅問題の発端は、全て嘉田知事の信念のない政治姿勢から発せられる言葉に原因がある。

驚くのは、医療観察病棟建設問題では、訴訟まで起こされているのに関わらず地元に足を運ばない知事が、この栗東新駅問題では、すぐさま

自治会に説明に行くと明言していることだ。地権者をこれ以上怒らせたくないという思いからか・・・。原発問題のときも経済界の要望にはあっ

さり前言撤回の軽さを披露したばかり。持つべき者にへりくだり、持たざる者には無視をする。これが県民目線を強調してきた嘉田知事の県

政か。他のことではあっさり前言撤回し続けてきた嘉田知事が、住民や精神障害者関係団体が反対している医療観察病棟建設に関してだけ

は、頑なな姿勢はどうしてなのか不思議である。嘉田知事がへりくだる別の何かがあるのだろうか?

<朝日新聞>
知事/自治会に説明へ
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001208210001

<中日新聞>
知事 栗東市長に謝罪 新駅必要発言で
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20120821/CK2012082102000013.html

<京都新聞>
嘉田知事「白紙で議論」 新駅発言で栗東市長に説明
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120820000064

<読売新聞>
新駅発言 知事と栗東市長会談も平行線
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20120820-OYT8T01312.htm

<産経新聞>
「新駅必要」発言 知事、栗東市長に直接謝罪
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120821/shg12082102070003-n1.htm

青山無視して、上田上へ

「8月下旬頃から工事が始まります」という案内文書が上田上学区に配布されたらしい(発行日付は7月31日)。

7月22日の訴訟説明会に飛び入り参加した苗村室長は、青山に説明に来ると帰られたが、そのすぐ後の31日には上田上に強引ともとれる

工事着工宣言のような案内書を配布している。一番建設地に近い住宅地の青山を無視して上田上への説明である。また、大方の上田上学区の

住民は、今までの経緯や県の対応を知らない。そこで、上田上にお知り合いのいる方はぜひ正確な情報をお伝えいただきたい。

上田上の工事に関する説明会は・・

8月21日(火)夜19時30分から上田上市民センターで開催

今年2月の県議会予算議決前に審査委員会を開催

滋賀県土木交通部が取り仕切っている総合評価審査委員会 小委員会であるが、この医療観察病棟の本体病棟建設についての委員会は、昨年

4月と11月に開催されている。

しかし、一連の経緯を振り返ると、この医療観察病棟の本体予算の最終議決は、平成24年2月の県議会である。

<滋賀県議会だより>

http://www.shigaken-gikai.jp/voices/GikaiDoc/attach/koho/KhB207_dayori-61.pdf

<平成24年2月県議会 議題15号 平成24年度滋賀県病院事業 会計予算>

http://www.shigaken-gikai.jp/voices/GikaiDoc/attach/Gk/Gk2972_gi-15.pdf

2月に、本体予算の議題があったからこそ、青山学区でも、請願書提出をなんとか実現しようとしていたはずである。

また、議会開催中の3月12日に、厚生・産業常任委員会で、この議題15号の医療観察病棟建設について質疑応答がされている(当HPでも

掲載)。

今年2月の県議会の段階では、まだ議会も県民も本体建設は決まっていないものとして動いていたはずである。

しかし、その一方で、建設を担う土木交通部では、まだ説明会も開催されていなかった4月と、反対機運が最高潮に達していた11月に、こ

の医療観察病棟の本体建設が決まったかのような委員会を開催している。

県民代表が協議して施策を議決する県議会など関係ないかのような動きは、独走ではないだろうか。

今年2月の県議会で予算議決がされてから、各部局の関係委員会は始動すべきはず。

嘉田知事は、2月県議会の予算編成について下記のように述べている。

「今回の予算編成に当たりましては、県政を取り巻く様々な課題の解決に向けて県民の皆さんの生活現場に沿った願いや思いを活かしていく

 ために、関係部局が共通の目標を持って部局間の綿密な横串を刺す連携を図るよう徹底してまいりました」

願いや思いを活かしてはくれてはいないし、横串を刺す連携というよりは、それぞれの部局が独走しているように思う。これは県民軽視の姿

勢ではないか。

 

滋賀県土木交通部の配布資料には、新築表記

平成23年11月の総合評価小審査委員会では、下記のメンバーが精神医療センター医療病棟新築工事について協議している。

監査委員会の意見陳述などでは、県はあくまでも増築と言ってたが、土木交通部の全ての関係資料は新築表記になっている。

専門家集団の土木交通部の配布資料に新築とあるのだから、新築であろう。

ちなみに、平成24年4月6日付で県が草津市に提出した計画通知(建築確認申請)は「工事種別」は「新築」ではなく「増築」となってお

り、草津市がその申請を認可している。

<11月総合評価小審査委員会>

本体建設の総合評価審査委員会は3回の開催

精神医療センター医療観察法病棟新築工事の落札までの経緯を時系列に過去に遡って、書き出してみた。

平成24年5月29日・・開札執行され、本体落札結果が公表(当HPでも掲載)

平成24年5月2日・・・・総合評価審査委員会 小委員会が開催され、落札者(評価点)の決定

平成23年11月2日・・総合評価審査委員会 小委員会が開催され、評価基準について協議

平成23年4月15日・・総合評価審査委員会 小委員会が開催され、総合評価方式での実施の適否

この医療観察病棟建設の総合評価審査委員会 小委員会は、下記の「総合評価方式に関する評価調書」の赤枠にあるように平成23年4月、11月、平成24年5月の3回開催されている。

『平成24年度第1号 精神医療センター医療観察法、病棟新築工事』の「総合評価方式に関する評価調書」

 

 

落札を決めたのは滋賀県の「総合評価審査委員会」

医療観察病棟の本体建設を落札したのは、瀬田の内田組であるが、どのように決められたのか、公文書公開請求の資料から順に追っていってみたい。

各建設会社は、滋賀県土木交通部が実施する入札に参加する。入札の方式は、「総合評価方式」である。

この「総合評価方式」が行われることになった背景として、低価格の価格競争が激化し、いわゆるダンピング受注による公共工事の品質低下が懸念されることから、滋賀県では平成18年度から導入している。

品確法では、公共工事の品質は「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格および品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより確保されなければならない」とされており、発注者は、競争参加者から技術提案を求め、これを適切に審査・評価するのが「総合評価方式」である。

では、適切に評価・審査し、落札者を決定する総合評価審査委員会 小委員会はどのようなメンバーで、何を決めているのか調べてみた。不思議なことに、透明性の確保をうたい文句に始めた「総合評価方式」であるが、ホームページ上には、この委員会のメンバーや委員会についての詳細な記載は見当たらない。

下記は、公開請求により明らかになった総合評価審査委員会 小委員会のメンバーである。総合評価審査委員会の実施要領によると、学識経験を有する者の意見の聴取とあり、「必要な事項に関して、2人以上の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない」とある。

赤枠で囲んでいる2人が、学識経験者として参加している。
京都営繕事務所は、国交省関連の事務所とのことである。また、大津市建設部 建築課長が学識経験者として参加している。参加していた建築課長が、途中転属になっても、他の大津市建設部の職員が参加するとのことである。

この総合評価審査委員会は、まさに行政の職員しか参加していない委員会であった。世間一般的な感覚では、学識経験者と言えば、外部から参加していただく人をイメージするが・・。また、なぜ滋賀県の審査委員会へ大津市建設部の職員だけが参加しているのか、疑問に思うところである。大津市が参加しているのであれば、次は草津市に参加していただくとか、特定の市や事業者にのみ偏った参加方式は公正、公平を欠くのではないだろうか。そもそも大津市の建設部の職員は学識経験者とはいえないのでは?!

< 総合評価委員会案内>

<建設工事に係る総合評価方式実施要領>

朝日新聞掲載記事(8月9日)

建設費支出差し止め求める

触法障害者施設 住民1038人が提訴

 県が来夏開設を目指して草津市に建設中の触法精神障害者の入院施設をめぐり、
隣接する大津市の青山地区や草津市などの住民計
1038人が8日、
嘉田由紀子知事に対して建設費の支出差し止めなどを求める住民訴訟を大津地裁に起こした。
県に支出差し止めを求め
た住民監査請求は7月9日付けで却下されていた。

 訴状によると、都市計画法に基づく開発許可や建築許可をとっておらず、
県内の入院対象者が3人なのに病床数は23床で、公金支出を
必要最小限度とする地方財政法に違反するとして、
設計費など支出済みの約6200万円の返還と、今後の建設費12億4000万円の差
し止めを求めた。

 原告団代表で青山学区自治連合会の大谷洋士会長は会見で
「監査請求で検討されなかった内容を検討してもらい、差し止めを認めてほし
い」と話し、
嘉田知事は「訴状の内容を見た上で答えたい」とのコメントを出した。

京都新聞掲載記事(8月9日)

観察病棟計画

住民らが提訴

 「県、許可を得ず」

滋賀県が県立精神医療センター(草津市笠山8丁目)敷地内に建設を予定している医療観察病棟計画で、
都市計画法に基づく建築許可を得ていないのは違法などとして、周辺住民らが8日、県を相手に、
既に支出された建設費約6200万円の返還と今後の支出差し止めを求め、大津地裁に提訴した。

訴状によると、病棟の建設地域は市街化調整区域で、
草津市の建築許可を取らずに建設するのは都市計画法に違反するとしている。

さらに実態は新築する病棟を増築として建築確認申請していると指摘。建築基準法に違反すると主張している。

嘉田由紀子知事は「訴状が届いたら内容を見た上でお答えする」とのコメントを出した。

住民らは5月に同様の内容で住民監査請求したが、建設費はすべて国庫支出金が財源で、
県に損害や損失が生じることはなく、請求の要件を満たしていないなどとして却下された。

読売新聞掲載記事(8月9日)

医療観察病棟で住民訴訟

 凶悪犯罪を起こし、心神喪失などで刑事責任が問えない「触法精神障害者」の社会復帰のため、県立の精神医療センター(草津市)内に建設が計画されている「医療観察病棟」について、周辺住民ら1038人が8日、「地域住民の理解が得られていない」として、県を相手取り、建設費支出の差し止めを求める住民訴訟を地裁に起こした。

中日新聞掲載記事(8月9日)

「建設費差し止めを」と提訴 草津の触法精神障害者施設

草津市笠山の県立精神医療センター内に建設が計画されている触法精神障害者の入院施設をめぐり、計画に反対する周辺住民1038人が8日、建設の手続きが違法だとして、県に建設費13億円の公金支出の差し止めを求める住民訴訟を大津地裁に起こした。

 訴状によると、施設は開発許可を得ておらず着工は都市計画法違反であり、施設を「増築」と建築確認申請したことも建築基準法違反だと主張。地域住民への説明も不十分だと指摘している。

 原告は施設に近い大津、草津、栗東各市の住民が中心。今年5月に公金支出の差し止めを求めて住民監査請求したが、7月に請求を却下されため、住民訴訟に踏み切った。

 原告団代表で、施設に近い大津市青山学区に住む大谷洋士さん(45)は「多くの住民が声を上げているのに、県は議会などで住民の合意が得られたと説明している。どこに当事者がいるのか」と県の対応を批判した。

 県は、施設の2013年開設を目指している。提訴を受け、嘉田由紀子知事は「裁判所から訴状が届いたら、内容を見た上で答える」とのコメントを出した。