名古屋グランパスが獲得へ乗り出していた福岡大4年のDF牟田雄祐(21)の入団が31日、内定した。J18クラブなどによる激しい争奪戦が繰り広げられた大器に対し、クラブ内ではレギュラー番号「3」を用意する異例のプランが浮上。過去に例がない“VIP待遇”でチームの中心に育て上げる。
超逸材のグランパス入団がついに決まった。31日に牟田と福岡大の乾真寛監督から、正式に入団を希望する旨の連絡がクラブ側に入った。最終的に選択肢として残っていたJ1の柏、C大阪、磐田、仙台とJ2の福岡には断りを入れたようだ。ギリギリの争奪戦を制した久米GMは「非常にうれしい。牟田君は日本サッカー界の宝。責任を持って預かりたい」と最大級の喜びを表した。
大学3年時にロンドン五輪代表候補にも選出されている即戦力DF。久米GMは「五輪代表を見てもオーバーエージで吉田と徳永を入れている。牟田君のように、21歳で強くて速いDFが日本には少ない」と言う。希少価値の高いセンターバック。グランパスのレギュラーDFが30歳前後という背景もあり、牟田の獲得は来季へ向けた補強の最優先事項だった。
牟田に対する期待の高さは背番号に表れそうだ。グランパスは空き番の「3」の提示を検討している。97年の固定番号制への移行以来、16年間でグランパスの新人がいきなりレギュラー番号を背負った例は一度もない。09年まで在籍したDF吉田麻也も新人時は背番号34。現在10番を背負うMF小川佳純も大卒時は背番号29だった。どんなスーパールーキーでも、実績を積んでから若い番号へと“昇格”してきた。
久米GMは「ストイコビッチ監督が自ら動くくらいの選手。背番号3を提案してもいいんじゃないか」と説明した。牟田が7月に練習参加した際はピクシー自ら食事会で口説いた。指揮官の高い評価も、前例を打ち破る理由となりそうだ。
3番は過去に元日本代表のDF大岩剛らも背負った名センターバックの代名詞。久米GMが「次世代の中心選手」と認める男は、名古屋の新たな象徴として船出する。 (木村尚公)
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