歴史問題、日本で「談話」修正論が浮上する背景

 日本の安倍晋三元首相は27日、産経新聞のインタビューで、自民党が政権の座に就いた場合、歴史認識に関する過去の三つの談話について「全ての談話の見直しをする必要がある」と述べた。しかし、三つの談話は日本で有名無実化して久しい。2000年以降、侵略戦争を美化した教科書が増え、教科書で周辺諸国への配慮を約束した宮沢談話は事実上力を失った。植民地支配と侵略戦争について謝罪した村山談話は、小泉純一郎元首相が戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社を毎年参拝し、同様に形骸化した。

 安倍元首相が既に実体を失った三つの談話の見直しを主張したのは、憲法改正を通じ、「戦犯国家」の枠組みから完全に脱却する狙いがあるといえる。自民党は既に天皇を国家元首、自衛隊を国防軍とする憲法改正案をまとめており、日本の主な政治指導者の中にも同様の考えを持つ人が多い。憲法改正の可能性はこれまでよりも高まっている状況だ。

 野田佳彦首相は就任前に記した文章で「日本には戦犯はいない」と述べ、日本の戦争責任を全面否定した。野田首相は過去に「韓国と中国は何か問題が生じれば、従軍慰安婦問題を取り上げ、日本に謝罪を要求する」とも語っている。大阪維新の会の橋下徹大阪市長も「河野談話は最悪だ」と述べ、従軍慰安婦の強制連行を否定した。石原慎太郎東京都知事は、集団的自衛権の導入などを柱とする憲法改正に向け、新党を結成すると公言した。

 独島(日本名・竹島)や尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる領土紛争が深刻化して以降、日本社会にそれまで残されていた良心的な声も姿を消した。安倍元首相が2007年に従軍慰安婦の強制連行を否定した際には、党内外から批判の声が出た。しかし、最近は野田首相ら政治家から過去の歴史を否定する発言が相次いでも、それを批判する政治家やメディアは見つからない。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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