安倍氏は首相在任中の2007年3月「慰安婦の動員に強制性はなかった」として河野談話を否定したが、その1カ月後に行われた米国のブッシュ大統領(当時)との会談では、慰安婦問題について「人間として、首相として心から同情している。申し訳ないと思っている」と述べた。日本メディアは安倍首相の言行について「慰安婦たちにするべき謝罪をなぜ米国の大統領にするのか」と批判した。
米下院は2007年7月「慰安婦は日本政府による軍隊での強制売春制度で、その残虐性と規模の面で前例のない、20世紀最大規模の人身売買の一つだ」などと非難する決議案を満場一致で採択した。クリントン国務長官は先月、国務省で「日本軍慰安婦という表現は誤っている」とした上で「強要された性的奴隷」という表現を使うよう部下に指示したという。
日本軍による性的奴隷問題は、当時日本が韓国や中国、台湾、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど、日本の植民地支配あるいは侵略を受けた国はもちろん、当時インドネシアに住んでいたオランダ人女性をも巻き込んだ人道に反する犯罪で、アジアだけでなく欧州や北米諸国などからも激しい非難を受けていた。国際法では人道に反する犯罪に時効を認めず、最後まで処罰する流れが定着している。
後発の帝国主義、軍国主義国としてアジアの隣国を侵略し、数千万人を殺害、あるいは戦場に引き出し人間の盾として使いながら、欧州の帝国主義諸国の数倍も残酷で残忍な犯罪を犯してきたのが、日本の100年の近代史だ。日本が村山談話を見直すのは、アジア侵略の歴史を否定することを意味し、また宮沢談話を見直すのは、日本の現在と次の世代の国民にうその歴史を教え、自分たちの犯罪を繰り返させる道を開くものとなる。さらに反人道的な国家犯罪を正当化し、河野談話までなかったこととするのは、アジア諸国全体から糾弾の対象になることを選ぶ「脱アジア宣言」にほかならない。
日本がこのように正常な軌道を離脱し始めたことを受け、大韓民国は日本を制御するための国際協力を模索すべき段階に入った。大統領や大統領候補者たちはもちろん、国民全体が現在の状況を冷静に受け止めなければならない。