【社説】日本は侵略の歴史や戦争犯罪まで否定するのか

 日本の野田佳彦首相は27日の参議院予算委員会で日本軍慰安婦問題について言及し「強制連行されたという事実は文書では確認されておらず、(日本側の)証言もなかった」と述べ、また松原仁・国家公安委員長は「河野談話の見直し」に言及した。河野談話とは、1993年に当時の河野洋平官房長官が発表した慰安婦関連の調査結果に関する談話で、慰安婦の強制連行に日本政府が直接・間接的に関与していたことを認めたものだ。松原委員長は入閣前から慰安婦の存在そのものを否定する発言をしてきたことでも知られ、8月15日には第2次世界大戦の戦犯がまつられている靖国神社を、日本の民主党所属閣僚の中で初めて参拝した人物だ。

 日本政府は河野談話の中で、日本軍の要請で慰安所が設置されたこと、その管理や慰安婦の移送に日本軍が直接・間接的に関与していたことを認めている。河野談話は1991年12月から20カ月かけて収集された警察庁、防衛庁(当時)、法務省、外務省、文部省(当時)、厚生省(当時)、労働省(当時)など各省庁の資料や、旧日本軍と旧朝鮮総督府の関係者、慰安所の経営者、慰安所周辺の居住者などの証言、さらに韓国側の証言、米国立文書保管所の資料、沖縄現地での調査結果などに基づいて作成されたものだ。河野談話が発表されると、1945年の光復(日本による植民地支配からの解放)や65年の韓日国交正常化後もずっと問題視されてきた慰安婦問題、つまり韓国人女性を強制的に連れ出して日本軍の性的奴隷とした問題は、日本政府による賠償問題へと次元が変わった。ところが今になって日本政府は、その河野談話を見直すと言い出したのだ。

 次期首相に改めて挑戦する意向を示している自民党の安倍晋三元首相は、28日付産経新聞とのインタビューで「宮沢談話、河野談話、村山談話など、全ての談話を見直す必要がある。政府の新しい見解を表明しなければならない」と主張している。これは、自らが首相となった後の構想について語ったものといえるだろう。宮沢談話とは、1982年に歴史教科書歪曲(わいきょく)問題が表面化した際、当時の宮沢官房長官が「日本政府が責任を持って教科書の記述内容を修正する」と述べたもので、この談話はその後、日本が教科書検定基準の中に「近隣諸国条項」を設けるきっかけとなった。

 1995年8月に発表された村山談話は、当時の村山富市首相が第2次世界大戦の終戦から50年という節目の年に発表した談話で「植民地支配と侵略により、アジア諸国の方々に多くの損害と苦痛を与えた」「疑う余地のない歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省の意向を表明し心から謝罪する」という内容だ。これは、日本政府が植民地支配に対し、最も踏み込んで謝罪したものとされる。

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