1993年8月に日本政府は当時の河野洋平官房長官による談話という形で「慰安所の設置、管理に日本軍が関与していた」として謝罪したが、これは日本政府が独自に行った徹底した調査結果によるものだ。このとき河野氏は「日本軍慰安婦問題に対する調査結果」を日本政府として正式に発表した。
河野氏によると、日本軍慰安婦の強制動員に対する調査は1991年12月から警察庁、防衛庁(当時)、法務省、文部省(当時)、厚生省(当時)、労働省(当時)など政府省庁を対象に行われ、さらに旧日本軍、旧朝鮮総督府関係者、慰安所の元経営者、慰安所周辺の住民などからも証言を聞いたという。
1993年7月には日本政府関係者が韓国を訪れ、太平洋戦争犠牲者遺族会など関係する団体を通じ、日本軍慰安婦関連の聞き取りを行った。米国には担当者を派遣して国立文書保管所で資料を収集し、沖縄でも現地調査を実施した。
1年8カ月にわたる日本政府の徹底した調査の末に「日本軍の要請により慰安所が設置され、慰安所の設置、管理、及び慰安婦の移送に日本軍が直接、間接的に関与していた」と結論づけられた。占領地で日本の軍人による強姦(ごうかん)事件が相次いで発生し、これが原因で反日感情が高まるのを阻止すると同時に、また性病によって戦力が低下するのを恐れたのもその理由だという。