日本軍慰安婦問題をめぐる野田佳彦首相らの27日の国会での発言について、28日付の韓国主要紙は、1993年に当時の河野洋平官房長官が「おわびと反省」を表明した談話を否定する動きとして紹介した。
野田首相は27日の参院予算委員会で、河野談話を「踏襲する」としながら、談話が出た経緯を「強制連行の事実を文書で確認できず、日本側の証言もなかったが、慰安婦への聞き取りからできた」と説明。松原仁国家公安委員長は、談話に関して閣僚で議論すべきだとの考えを示した。
これに対し、朝鮮日報は1面で「河野談話まで否定にのり出した日本」と見出しをとった。他紙も「日本の民主党 河野談話までひっくり返すのか」(ハンギョレ新聞)、「野田『慰安婦の強制動員』までも否定」(東亜日報)など、「歴史の歪曲(わいきょく)」として紹介している。
一方、韓国政府関係者は「深い失望を禁じ得ない」とし、「被害者が納得できる誠意ある措置をとるよう求めたい」と述べた。外交通商省は27日、慰安婦問題の関係者会議を開催。出席者によると、日本の政治家による「歴史を認めない」発言を憂慮する意見が相次いだ。(ソウル=中野晃)