東国大学警察行政学科の郭大瓊(クァク・テギョン)教授は「ほとんどの常習性犯罪者は、犯行時に相手が児童か成人かを区別せず、まさしく“性犯罪中毒者”ゆえに犯行に及ぶ」と語った。漢陽大学警察行政学科のヨム・ガンリョン教授も「児童を対象とする性犯罪者が、成人を対象とする性犯罪の累犯者に比べ、相対的に性的衝動を抑制し難いという科学的証拠はない」と語った。
しかし韓国では、一般の性暴行犯の平均的な刑期は3年2カ月で、13歳未満を対象とする性暴行犯の刑期が5年2カ月(2010年基準)となっている点を見ると、処罰の面で差が大きい。スイスでは04年から、犯行の対象が児童か成人かに関係なく、終身刑を下せるようになっている。また二人以上の専門家が「危険」もしくは「更正の余地なし」と判断した性犯罪者の場合、生涯にわたって社会から隔離し、仮釈放も許可しないという。
漢陽大学のヨム・ガンリョン教授は「成人を対象とする性犯罪者であっても、悪質な犯罪者については量刑を重くし、薬物治療(化学的去勢)や心理治療を平行して実施することが望ましい」と語った。
韓国では性犯罪者に対する処罰そのものが全般的に軽い、という指摘もある。米国の裁判所は昨年、性犯罪者に対し、平均して10年5カ月の刑を言い渡した。常習性犯罪者のキム・ジョンドク容疑者のような人物に対しても懲役4-7年を言い渡す韓国とは、対照的な姿勢だ。また韓国では、性的暴行事件の不起訴処分率が49.4%に達し、殺人(23.7%)や強盗(38.9%)よりもはるかに高い。このように、韓国では性犯罪者、とりわけ常習性犯罪者に対する処罰が甘いため、性犯罪者が社会に出て再び犯行に及ぶ確率がそれだけ高まっているというわけだ。
性犯罪に寛大な社会の雰囲気を一掃するため、より厳格な処罰を導入すべきという指摘も多い。チャン・ジュンオ大韓犯罪学会会長は「最近は累犯凶悪犯に対する処罰が軽くなり、監獄でもこうした犯罪者に人間的な待遇を行っている。このため累犯者は、重い処罰を受けないという事実を既に知っており、再犯を犯しやすい」と語った。
米国は、悪質な累犯性犯罪者に対し、終身刑はもちろん、数百年に達する重い刑を科している。米国ミネソタ州では、法定最高刑に関係なく、性犯罪者が悪質だと判断された場合には、初犯であっても終身刑を言い渡す。また米国ジョージア州の裁判所も昨年2月、教会に一人でいた女性信者に性的暴行を加えて逃走したジョン・カーバー被告(51)に、懲役115年の刑を言い渡した。