性犯罪:韓国で累犯者が増加

昨年の性犯罪者のうち1600人は再犯…この3年で35%増

 キム・ジョムドク容疑者(44)は今年7月、慶尚南道統営市で、近所に暮らしていた女児ハンさん(10)を暴行しようとしてひもで首を絞め、殺害した。キム容疑者には性犯罪の前科があった。2005年に当時60代の女性を暴行しようとして石で殴りつけ、けがをさせた罪で4年間服役した。

 キム容疑者は刑務所を出所して3年が過ぎたころ、10代を狙って再び性犯罪に走るようになった。キム容疑者は警察の取り調べに対し「(ハンさんは)ピンク色のミニスカートをはいており、瞬間的な衝動にかられ、家に連れ込んで暴行しようとして殺害した」と供述した。性犯罪者の中には、キム容疑者のような再犯者が多い。麻薬と同じく、性犯罪も常習的に繰り返される傾向が強い犯罪だ、と専門家は話している。警察庁によると、韓国で昨年摘発された性犯罪者2万189人のうち、性犯罪の前科があったケースは1629人。こうした性犯罪の累犯者数は、08年の1201人から09年には1254人、10年には1478人へと年々増加する傾向にある。今年6月までに摘発された性犯罪者9059人の中にも、かつて同犯罪を犯した人物が679人も含まれている。こうした性犯罪の再犯者は、児童・成人を問わず、無差別に犯行に及ぶケースが多い。しかし韓国の現行刑法では、児童に対する性的暴行と成人に対する性的暴行が区別されており、後者についてはあまりに寛大だという批判がなされている。

 児童・青少年を対象とした性犯罪に対しては「化学的去勢」を行う一方で、成人に対する性犯罪者については累犯であっても適用しない、というのがその代表例だ。量刑も、成人に対する性犯罪の累犯者の方がはるかに軽い。大法院(最高裁に相当)の量刑基準によると、13歳未満の児童を対象とするケースでは、初犯でも8年から12年の刑に処すると規定しているのに対し、13歳以上を対象とする性的暴行の累犯の場合は、懲役4-7年に過ぎない。

 イ・ウンヒョク警察大学行政学科教授は「被害者が児童か成人かによって性犯罪者の処罰に差をつけるのは、医学的・科学的根拠に基づいたものではない。幼い子どもに対する犯罪は凶悪だとする韓国国民の法感情と、長年にわたる韓国の司法部門の慣行が作用している」と語った。

 専門家たちは「性犯罪の累犯者は、相手を問わず性的な衝動を抑制できない虞犯者のため、児童を対象とする性犯罪者に比べ、処罰に差を付ける必要はない」と指摘する。

李恵云(イ・ヘウン)記者 , 権承俊(クォン・スンジュン)記者
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