焦点:特許訴訟に敗れたサムスン、誤算が招いた最悪の結末
[サンフランシスコ 27日 ロイター] 2010年8月、韓国サムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)がスマートフォン「ギャラクシー」を発売したわずか数カ月後、米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)の弁護団は韓国へと飛んだ。
アップルの前最高経営責任者(CEO)、故スティーブ・ジョブズ氏は当時すでに、米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したギャラクシーが、iPhoneを違法にコピーしたものだということをサムスン幹部に伝えていた。一方でサムスンはアップルにとって重要部品の供給メーカーでもあり、両社の関係を考えると、交渉による解決が最も可能性の高いシナリオとみられていた。
だが、事情に詳しい関係筋によれば、交渉は不調に終わった。サムスンの弁護団は、ギャラクシーをコピーと呼ばれて猛反発し、逆にアップルがサムスンの特許を侵害しているという主張を展開するようになった。
結局、2年前の両社のミーティングで双方の溝は決定的となり、世界各地での特許訴訟という泥沼に向かい、米国の裁判所でアップル勝訴の評決が言い渡されるという結末を迎えることとなる。
カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は24日、アップルの一部の特許が侵害されたと判断し、10億5000万ドルの損害を認定。週明けのソウル株式市場ではサムスンの株価が約7%急落した。
特許をめぐる争いは、訴訟に発展する前に当事者間の話し合いで解決する場合が多い。しかし今回の場合は、勝つか負けるかで天と地の差が出る争いであり、両社の間には法律問題の捉え方にも大きな違いがあった。
関係筋によれば、サムスンは自社の無線通信に関する特許が強固かつ価値あるものと信じて疑わず、裁判ではアップル側の訴えを食い止める防波堤的な役割を果たすと考えていた。また、アップルは「角が丸い長方形の外観」などをデザインの盗用として訴えていたが、サムスンはそんな主張が認められるはずがないとも踏んでいたという。
一方、アップル側は、製品の特徴やデザインに関する特許こそ、知的財産の「食物連鎖」の頂点にあると考えており、アンドロイド勢と戦っていくためにも、その正当性を証明することが極めて重要だとの認識を持っていた。 続く...