- [PR]
政治
【正論】弁護士、衆議院議員・稲田朋美 領土は歴史認識と二正面作戦で
野田首相は、国際法上決着ずみだとする従来の日本の主張を繰り返している。だが、韓国にはもう通用しない。憲法裁判所は、「慰安婦」問題が昭和40年の日韓請求権協定の範囲外で、「慰安婦」の賠償請求権は消滅しておらず、それを解決できていない韓国政府の不作為が、憲法違反に当たると断じているからだ。事実関係を否定しない限り、謝罪と補償を要求され続けるということになる。
≪個人賠償請求権で不当判断≫
こうした考え方は戦後補償全般に及ぶ。韓国最高裁はこの5月、戦時中の日本企業による朝鮮人強制労働に関する裁判で、日韓基本条約にもかかわらず個人賠償請求権は消滅していないという、国際法の常識に照らせば不当というほかない判決を言い渡している。
これで、日本での戦後補償裁判では法的に解決ずみという理由で勝訴してきた日本企業が、韓国国内で再度裁判を起こされれば、敗訴することになった。在韓資産を持つ日本企業は、敗訴判決に基づいて差し押さえを受け、資産を合法的に収奪されることになる。
しかも、日本政府は戦後補償、「慰安婦」裁判では、事実関係を争わない方針を採るので、日本での判決には証拠のない嘘が書き込まれている。裁判では、当事者が争わない事実は真実として扱われる。韓国の裁判でそんな日本の判決書が証拠として提出されれば、日本側に勝ち目はない。日本企業の財産を守る責務は国にある。政府は、戦後補償裁判でも事実関係を争う方針に転換すべきだ。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]