2012.08.31 16:03|日記
気づいている人もいるかと思いますが…。
段々と言葉づかいが変わっています。
キャラのイメージの修正なので特に気にしないで下さいw


ここは、どこだろう? 夢の中……なのかもな。

 ふと気がつくと、セナは柔らかな光に包まれた、不思議な空間に立っていた。

「セナさん……」

 聞き覚えのある声が聞こえた。穏やかだが、どこか冷めたような声。
 すぐに、声の主がセナの目の前に現れた。光が渦巻くような、“仮の姿”──。声の主は、“●●”だった。
「“●●”……」

 セナが呆然と呟くと、“●●”は話し始めた。

「ふふふ。今日は大変面白いものを見せて頂きました。人間の本性、というものでしょうか……。顕著に表れていましたね」

「何のことだ?」

 セナが問い返すと、“●●”は冷たく話す。

「傑作ですよね。あなたを“親友”などと言っていても、あなたのことなど少しも考えていないのですよ。所詮は自分が大事」

 さらに“●●”は非難を続けた。

「ホノオさんだけではありません。あなただって、そうです。人間はみな、そうなのです。だから、争うのです。“あんな事件”を犯すのですよ」

「“あんな事件”?」

 セナが問いかけるが、“●●”はそれを冷たくあしらう。

「いいですね、記憶をなくした方はお気楽で。ワタシはあなたに教えるほど人間が好きではありませんので」

「…………」

 いつも気になるのに掴めないのだ。どうして“●●”は人間を嫌うのか。そして、失った自分の記憶について。

「あなたも、ホノオさんなんて信用しないほうがいいですよ。今日、それがわかったでしょう?」

「…………」

 再びセナは沈黙する。確かに今日、ホノオに対して心を閉ざしたが、ここで「はい」と答えるのも、“●●”の思うがままのようで、しゃくだった。

「互いにいがみ合い、その傷が癒えぬまま、立場を気にして上辺だけうまく付き合ってゆく、冷たい存在。それが、人間なのです」

 そう言い残すと、“●●”はフッと姿を消した。

「いがみ合い……癒えぬまま……上辺だけ……冷たい、存在……」

 ポツリポツリと、“●●”の言葉をうつむきながら断片的に復唱するセナ。
 特に何も、考えていなかった。

 そんな彼の耳に、また違った声が届く。

「セナ」

 温かく、優しい声だった。セナが顔をあげると、”アイツ”が立っていた。

「辛そうだね。大丈夫?」

 ”アイツ”が心配そうにセナの顔を覗き込む。目が合うと、本当に辛く感じてきた。先ほどまでは、何も感じな かったのに……。

「ボクね、セナにお手紙書いてきたんだ。読んでみて!」

 そう言って”アイツ”が手渡してくるのは、いつかと同じ、黄緑色の便せん。

 そっと受け取り、
便せんから手紙を取り出してみた。
 だがそこで、セナの手が止まる。折り畳まれた手紙を、開くのをためらった。

 ひょっとしたら、この手紙を読むことで、オイラは“弱く”なるかもしれない。”アイツ”の優しい言葉のせいで、心という障害物が復活してしまうかもしれない。

 それでは何も、変えられない。同じことの繰り返し。無意味なことだ。

「ゴメン」

 セナはそう呟くと、手紙を読まずにビリビリと引き裂いた。それも、一度ではなく、何度も何度も、細かく……。

「え……?」

 戸惑いを隠せぬ”アイツ”に、セナは無表情で一言を放つ。

「オイラは“強く”なるんだ。こんな手紙なんか、要らない」

 その言葉を聞くと、”アイツ”は今にも泣き出しそうな顔をした。
 そして、その表情のまま、言葉を残さずに消えていった──。


「テオ……」

 セナがそう呟いたのは、夢の中ではなかった。夜中に目が覚め、暗い空の下で、夢の内容を思い出しながら呟いたのだ。

 夕方は天気が良かったのに、いつの間にか上空には厚い雲が。
 星や月の輝きをかき消し、さらには冷たい雨まで降らせていた。

 雨宿りなどする場所もない、セナとホノオ。
しかし、体を冷やす雨が、セナには心地よく感じた。時間帯が夜中なので、ホノオは眠っている。

 ここで、ふとセナの頭を夢の内容がよぎる。“●●”との会話。そして、ヴァイスからの手紙。

 セナは何気なくバッグに手を突っ込む。少し前から雨は降っていたらしく、バッグの中もしっとりと濡れていた。
 そして、ふやけた”テオ”からの手紙を取り出した。

 月明かりもないし、ホノオは寝ているときは尻尾の炎を消している。手紙を読む術がなく、しばらくただ便せんを眺めていた。

「っう……」

 視界をにじませるのは雨だろうか、それとも……。よくわからないが、小さく嗚咽が漏れたのは確かだ。

 心なんてないほうがいい。何度もそう痛感したはずなのに、何度か実行できたはずなのに、本当は、まだ迷っていた。
 傷つきたくないけど、心を失うのは怖い。

 もう一度、手紙を眺める。もしこの手紙を開いて読めば、オイラは心を取り戻すが、弱くなる。夢のように引き裂いてしまえば、感情を失う代わりに強くなれる。
 そんな気がした。

 どちらにしようか迷っていると、突然、姿は見えないが“●●”の声が聞こえる。脳に声が直接響くような、不思議な感覚だった。

「そんな手紙なんか、破ってしまった方がいいですよ、セナさん。他人など、信じるだけ無駄です。あなただって、もう傷つきたくないのでしょう? “強く”、なりたいのでしょう?」

「うわっ!!」

 “●●”が言葉を言い終えた直後、急にセナは酷い頭痛に襲われる。とっさに頭を押さえると、その場にうずくまった。
 手紙は投げ出され、地面にたまる水に浸った。

「手紙を、裂いてしまいなさい。そうすれば、頭痛から解放されますよ」

 “ポケモン”が冷たく囁く声が聞こえた。頭が割れそうなほどの痛みに悶える中でも、鮮明に響くその声。
 もはや、従わないことなどできなかった。

「うっ……!」

 暗闇に慣れた目が手紙をとらえると、それを握るように掴んで引き寄せ、ためらいもなく引き裂いた。
 びしょびしょに濡れた手紙は、音もなく、むなしく裂けてしまった。

 そこで本当に、頭痛がおさまった。セナは息を切らせて、自分が引き裂いた手紙を見つめた。

「は……ははは……」

 力のない笑い声が、自然と漏れる。これでもう、道は決まった。

 オイラは何を悩んでいたんだろう。やっぱり、こっちの道を選ぶんじゃないか。

 セナは立ち上がると、ゆっくりと後ろを向く。自分達の姿を隠してくれている岩肌が、彼を迎えた。

 グッと、右手を握る。それを軽く岩肌に押し当てた。
 そして、なんのためらいもなく思い切り拳を引き、そのまま岩を殴りつけた。

 乾いた音が、一瞬、雨の音を打ち消す。

 ニヤリと笑った後、セナはその場に力なくうずくまった。
 右手を開こうとするが、うまく指は伸びないし、激痛が走る。手からにじんだ赤色は、雨がゆっくりと流してくれ、暗闇に溶けていった。

 でも、これでいいんだ。
 セナは満足げに笑う。

 今の一撃には、全ての“感情”を込めたつもりだった。オイラは、ここに“心”を置いていく。

 心が傷つくより、体の怪我の方がはるかに楽だと気がついた。

「はははは……」

 再び力なく笑うと、セナは右手を空に突き上げる。雨粒が負傷した拳をコツコツと叩き、拳はズキズキと痛み出した。

 妙な開放感を感じて、セナは再び声を出して笑う。その声は雨の音と混じり、本来静かな夜を支配する。

 オイラは、強くなれたんだ。

はい、しゅーりょー。 終わり。 w。
時々、小説の本編とリンクした様な物も出てきますが…。
うん。 うん。 
後はご想像に任せます(´・ω・`)

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