動物園を訪れると、ときに切なくなる。狭いおりに動物が窮屈そうに押し込まれている光景を見るからだ。
だが、高知県香南市の「県立のいち動物公園」は、緑あふれる広い園内で動物たちが伸び伸びと暮らしている。動物の繁殖実績も良く、熱帯の環境を再現したジャングルミュージアムのマレーグマは、6頭目の子どもを育てている。
3年前にはチンパンジーの双子が生まれた。動物園でチンパンジーの双子が順調に育った例はなく、世界初の快挙への挑戦が続いている。だが職員によると、地元の人から「ゾウもライオンもいない動物園なんて」と不満をぶつけられることもあるそうだ。
それを聞いて、札幌市の円山動物園がゾウの飼育を検討していることを思い出した。円山にはアジアゾウがいたが、5年前に死んで、ゾウがいなくなった。
ゾウを新たに導入するには、繁殖目的でなければ認められない。複数のゾウが暮らせる広い敷地や水場が必要だ。円山の場合、施設の建設費だけで20億円かかるというが、陸上最大の動物、ゾウは驚きや感動を与える。札幌市は今、コンセンサスを得るべく、市民の意見を募っている。
動物園といえば、じっくり見て歩くと、ほかの生きものも面白い。円山の両生・爬虫(はちゅう)類の展示、「のいち」なら、高知県で最後に目撃されたニホンカワウソの近縁種がいて、文明と自然について考えさせられる。
それぞれの動物園が特色を打ち出し、見る側もそれを楽しめればいいのだが。(K)