AppleとSamsung Electronicsが繰り広げてきた特許係争は、Appleが勝訴する形で決着がついた。このニュースで持ちきりだった欧米メディアとは反対に、中国のChina Daily紙はAppleのニュースを控え目に取り扱っており、同ニュースはビジネス紙面の中に埋もれてしまっているかのようだった。
中国とは無関係のニュースであることから、中国メディアがAppleの勝訴を地味に取り扱ったとしても、それほど驚くようなことではないかもしれない。だが中国には、何のためらいもなくコピー商品を製造するAndroidスマートフォンメーカーも数多く存在する。こうしたメーカーは、Appleの勝訴によって大きな影響を受けるだろう。
特に注目すべきなのがZTEだ。同社は、世界第4位の大手携帯電話機メーカーであり、Appleの次なるライバルとして訴えられる可能性がある。
ZTEは、欧米の消費者の間ではそれほど知られていないかもしれない。しかし同社は、中国ブランドを世界に知らしめた、初の中国企業である。
米国の市場調査会社であるGartnerが発表した最新の市場データによると、ZTEは、2012年第2四半期における携帯端末の世界販売台数ランキングにおいて、第1位のSamsung、第2位のNokia、第3位のAppleに次いで、第4位の座にランクインしたという。さらにZTEは、2012年初めに、「2012年におけるスマートフォンの売上高を2倍にする」という野心的な計画を明確に打ち出している。
China Daily紙は2012年8月27日、ノムラインターナショナル(香港)で通信担当アナリストを務めるLeping Huang氏の発言を引用した記事を掲載した。同氏はこの中で、「Appleの勝訴は、長期的にみると、ZTEをはじめとするAndroid携帯電話機を手掛ける全てのメーカーに対して、マイナスの影響をもたらすと言える。米国の携帯通信事業者は今後、確実に訴訟のリスクがないことを確認できない限り、Android携帯電話機を採用しない可能性があるためだ」と述べている。AppleとSamsungの特許係争による影響を初めて明確に示した記事だと言えるだろう。
ただし、ZTEにとって唯一の救いとなっているのは、同社がAndroid搭載スマートフォンだけでなく、Microsoftのモバイル機器向けOS「Windows Phone」を搭載したスマートフォンも手掛けているという点だ。ZTEは2013年に、「Windows 8」を搭載するスマートフォンの発表を予定している。おそらく同社は2013年に、米国市場向けに、Androidスマートフォンに代わりWindows 8スマートフォンの販売に注力していくだろう。
「Appleの勝訴によって“真の勝者”となるのはMicrosoftである」という憶測もあるが、ZTEのような動きは、こうした憶測を裏付けるものと言えるのではないだろうか。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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