裁判員制度で裁判官はヘトヘト
【政治・経済】
大阪地裁 現職裁判長 自殺
遺書は見つかっておらず、原因は不明だが、現職裁判長の自殺は前代未聞。法務省も大慌てで内部調査を始めた。
「村田さんは三重県出身で早大卒業後の1986年任官。担当は刑事裁判が中心で、東京地裁、名古屋地裁をともに2度経験するなどエリートでした。津地裁では2009年9月、東海地方初の裁判員裁判だった強盗致傷事件で、裁判長を務めた。マジメで厳しい判決を出す一方、被告に優しい説諭をする一面もありました」(専門誌記者)
村田裁判長を追い込んだものは何なのか。真相は闇の中だが、元裁判官の古性明弁護士は「3年前にスタートした裁判員裁判で、かなりの負担がのしかかっていたはず」と指摘する。
「初対面の素人6人に、公判の流れや論点を分かりやすく説明し、一人一人の意見を聞いて結論を出すというのは、裁判長にとってかなりの重労働です。昔より複雑化した事件は多いし、しかも短期間で判決を出さないといけない。ひとつの裁判を終えても、10~20件裁判を抱えているので、すぐに次をスタートさせないといけない。この3年間、休む暇などなかったでしょう。また、村田さんはわかりませんが、裁判官の大半は裁判員制度導入に内心は反対で、腑に落ちないままやっている。マジメな人ほどストレスがたまっているでしょう」
法務省は裁判員の心のケアに力を入れているが、裁判官にも目を向けないと、大変なことになる。