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判決日 裁判長自殺か…陪席、代役で言い渡し

 23日午前10時30分頃、大阪地裁部総括判事の村田健二裁判官(57)が大阪府豊中市内の官舎の自室で死亡しているのを、訪ねてきた地裁職員が見つけ110番した。自らが裁判長を務めた裁判員裁判の判決言い渡し日だった。府警豊中署は室内の状況などから自殺とみている。遺書はなかった。

 この裁判員裁判は強制わいせつ致傷事件で21、22の両日に審理。判決では、陪席裁判官が裁判長になって、被告に懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役3年6月)の有罪を言い渡した。地裁は「評議を終え、判決は出来上がっていた」とし、裁判員には開廷前、村田裁判官の死亡を伝えたという。

 捜査関係者や地裁によると、村田裁判官は単身赴任。この日出勤せず、心配した地裁職員が出向いたが、部屋は施錠されており、窓ガラスを割って室内に入った。

 村田裁判官は1986年任官で、昨年4月に同地裁に赴任。津地裁勤務の2009年9月には、東海3県(愛知、岐阜、三重県)で初めて開かれた裁判員裁判の裁判長を務めた。

 大阪地裁では、タクシー運転手が狙われた強盗殺人・同未遂事件(判決は2月)など十数件の裁判員裁判を担当。名古屋高裁で勤務した際は、名張毒ぶどう酒事件の再審開始決定を取り消した異議審(決定は06年)にかかわった。この時の裁判長だった門野博・法政大教授は「まじめで一生懸命だった。判断は穏当で、しっかりしていた。悩みはまったく聞いたことがない」とショックを受けていた。

2012年8月24日  読売新聞)
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