政治【産経抄】8月31日2012.8.31 03:27

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【産経抄】
8月31日

2012.8.31 03:27 産経抄

 〈かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば〉。野田佳彦首相に対する問責決議が参院本会議で可決されたと聞いて、この歌を思い出した。平成14年に83歳で亡くなった浜田蝶二郎さんの作品だ。

 ▼「野田内閣が強行して押し通した消費税増税法は、二千九年の総選挙での民主党政権公約に違反するものである」。こんな文章で始まる決議に「結局」、自民党まで賛成した。民主、自民、公明の3党が、消費税増税で合意に達したのは、わずか20日前だというのに。

 ▼やはり「近いうちに」との衆院解散時期についての首相の発言が、きっかけのようだ。苦戦が必至の民主党議員が受け入れるわけがなかった。衆院の定数見直し問題で、自民党が猛反対する法案を衆院で強行採決するなど、露骨な先送り作戦に出た。

 ▼解散追い込みに失敗し、求心力を失いつつある自民党の谷垣禎一総裁は、せめて戦う姿勢だけでも示す必要があった。党内からも「自己否定」の声が上がる暴挙を「要約すれば」、こうなる。

 ▼〈いちばん分かりにくいのは自分 いちばん重くて軽いのも自分〉。かくして国会は、重要法案を棚ざらしにしたまま事実上閉幕した。新たな政治劇の幕が上がり、「いちばん」自分が大切な先生方の動きが活発になってきた。自民党内では9月の総裁選に向けて、すでに有力者の間で綱引きが始まっている。橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」となんとか連携しようと、右往左往する議員たちの風聞も伝わってきた。

 ▼〈空海の顔などにひそむ確信が二十世紀末のわれらには無き〉。空海まで遡(さかのぼ)らなくても一昔前までの政界では、そんな「確信」に満ちた顔に出会えたものだが。

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