ACTAに対するEUの懸念とは
2012,06/01(Fri)
5月31日に、EUの三つの委員会、
Civil Liberties Committee (LIBE)
Industry Committee (ITRE)
Legal Affairs Committee (JURI)
で、日本発の協定であるACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)に関する投票があった。
日本では報道されないので、その名もほとんど知られていないし、知ったところで、
偽造品を取り締まる協定?結構なことじゃない?
程度にしか思われていないようだが、
EUでは今年はじめあたりから、広い市民層を巻き込んだ大騒動になっている。
これまでの経緯については、ここを参照。
さて、その三つの委員会での投票は、すべてACTAを否定する結果になった。
EUの市民や議会は、いったい何を懸念しているか、軽くまとめておきたい(情報源はここ)。
LIBEでは、ACTAに賛成1、反対36、欠席21。
反対理由:
・ACTAは、EU Charter of Fundamental Rightsにそぐわない。
・偽造品への対策は必要だが、それは個人の生活を尊重し、個人情報を保護するものでなくてはならない。
・ACTAはその点で、多くのあいまいな部分を持っている。
・インターネット・プロバイダーは、ネットを取り締まってはいけない。
ITREでは、ACTA賛成6、反対25。
反対理由:
・ACTAは知財権のバランス、ビジネスの自由、個人情報の保護、情報交換の自由を損なう。
・ACTAの知財へのアプローチは、各セクターの特質を無視しており、欧州の企業に法的な不確定さをもたらす。
JURIでは、ACTA賛成2、反対10、欠席2。
・Gallo議員から提出されていたACTA賛成意見(欧州議会のLegal Serviceに賛成意見がある、ACTAは新しい知財権を創らない、など)を否決。
数からいえば、ACTA反対派の圧勝である。
今後の予定だが、6月9日には欧州全体で、再び大規模なデモが企画されている(日本でもやるようだ)。
その後、ACTAを所管するInternational Trade Committeeが6月21日にある。
それを受けて、7月初旬の全体会議でEUとしての最終的な意志決定がなされる。
そこでも否決されたら、EU構成国のすべてがACTAに参加しないことになる。
(ACTA自体は、どこかの6ヶ国が批准したら発効する。)
ぼくはいま日本にいないからわからないのだが、
こうした動きを日本のマスコミは、まだ伝えていないのだろうか。
日本はACTAの提唱国なのだから、
EUでの相次ぐ拒絶の動きに対して、
官邸や外務省や経産省は、何か説明をしたらどうかと思うのだが、
そんな動きは聞こえてこない。
(あるいは例によって、水面下でやってるのかもしれないが。)
日本は野田政権が昨年署名し、国会での批准を待つ段階に来ている。
もともと自公政権下で進められた交渉だし、待ったをかける有力な政党は、いまのところなさそうだ。
ACTAに拒否反応が起きている最大の理由は、
それが秘密交渉で進められてきたことにある。
市民生活に密接にかかわる領域で、ルールメイキングに透明性が欠けるとどうなるのか。
少なくとも欧州での今回のケースについては、手痛いしっぺ返しを受けているといっていいだろう。
TPPも、違法ダウンロード刑罰化もそうだが、
秘密でルールを決めるようなやり方は、
この世界ではもう通用しなくなるんだということを、
みんなが学ぶきっかけになるといい。
Civil Liberties Committee (LIBE)
Industry Committee (ITRE)
Legal Affairs Committee (JURI)
で、日本発の協定であるACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)に関する投票があった。
日本では報道されないので、その名もほとんど知られていないし、知ったところで、
偽造品を取り締まる協定?結構なことじゃない?
程度にしか思われていないようだが、
EUでは今年はじめあたりから、広い市民層を巻き込んだ大騒動になっている。
これまでの経緯については、ここを参照。
さて、その三つの委員会での投票は、すべてACTAを否定する結果になった。
EUの市民や議会は、いったい何を懸念しているか、軽くまとめておきたい(情報源はここ)。
LIBEでは、ACTAに賛成1、反対36、欠席21。
反対理由:
・ACTAは、EU Charter of Fundamental Rightsにそぐわない。
・偽造品への対策は必要だが、それは個人の生活を尊重し、個人情報を保護するものでなくてはならない。
・ACTAはその点で、多くのあいまいな部分を持っている。
・インターネット・プロバイダーは、ネットを取り締まってはいけない。
ITREでは、ACTA賛成6、反対25。
反対理由:
・ACTAは知財権のバランス、ビジネスの自由、個人情報の保護、情報交換の自由を損なう。
・ACTAの知財へのアプローチは、各セクターの特質を無視しており、欧州の企業に法的な不確定さをもたらす。
JURIでは、ACTA賛成2、反対10、欠席2。
・Gallo議員から提出されていたACTA賛成意見(欧州議会のLegal Serviceに賛成意見がある、ACTAは新しい知財権を創らない、など)を否決。
数からいえば、ACTA反対派の圧勝である。
今後の予定だが、6月9日には欧州全体で、再び大規模なデモが企画されている(日本でもやるようだ)。
その後、ACTAを所管するInternational Trade Committeeが6月21日にある。
それを受けて、7月初旬の全体会議でEUとしての最終的な意志決定がなされる。
そこでも否決されたら、EU構成国のすべてがACTAに参加しないことになる。
(ACTA自体は、どこかの6ヶ国が批准したら発効する。)
ぼくはいま日本にいないからわからないのだが、
こうした動きを日本のマスコミは、まだ伝えていないのだろうか。
日本はACTAの提唱国なのだから、
EUでの相次ぐ拒絶の動きに対して、
官邸や外務省や経産省は、何か説明をしたらどうかと思うのだが、
そんな動きは聞こえてこない。
(あるいは例によって、水面下でやってるのかもしれないが。)
日本は野田政権が昨年署名し、国会での批准を待つ段階に来ている。
もともと自公政権下で進められた交渉だし、待ったをかける有力な政党は、いまのところなさそうだ。
ACTAに拒否反応が起きている最大の理由は、
それが秘密交渉で進められてきたことにある。
市民生活に密接にかかわる領域で、ルールメイキングに透明性が欠けるとどうなるのか。
少なくとも欧州での今回のケースについては、手痛いしっぺ返しを受けているといっていいだろう。
TPPも、違法ダウンロード刑罰化もそうだが、
秘密でルールを決めるようなやり方は、
この世界ではもう通用しなくなるんだということを、
みんなが学ぶきっかけになるといい。