BT.709にも対応したPS Vitaシステムソフトウェアv1.80

Filed Under (記事) by POP on 2012/08/29 11:50:24

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BT.709対応、レベル制限解除、物理キー操作対応などビデオ周りだけでも大幅に機能強化

 昨日リリースされたPS Vitaシステムソフトウェアv1.80にて、AVC(H.264)動画のBT.709対応が成されました(昨日お昼の呟き)。要は VUI を見てくれるようになったため、BT.601、BT.709いずれにおても指定されたカラーマトリクスによる色空間変換を実行してくれます。

↑BT.601カラーマトリクスによるYUV変換・エンコード(smpte170m指定)した映像。これはv1.69までと同様、正常に表示される。
↑BT.709カラーマトリクスによるYUV変換・エンコードした映像(bt709指定)。システムソフトウェアv1.69まではBT.601固定マトリクスが適用されてしまうため、正しく色空間変換できず、このチェック映像の例では緑が飽和して「PS Vita」の文字が見えなくなってしまう。しかし、v1.80ではこのとおり正常に表示される。

また、ProfileレベルもHigh@3.1縛りが解除され、完全にレベル制限が無くなりました(最大レベルであるHigh@5.2を意図的に指定しても大丈夫)。しかし、実質的なデコード能力はLevel 4.1~4.2程度であるため、最大ビットレートや参照フレーム数の指定には注意が必要です(下記の表を参照)。

前バージョンまでの詳細(仕様や問題点等)はこちらの過去記事でご覧いただけます。

システムソフトウェアv1.69までとv1.80のAVC(H.264)デコード仕様比較
 
Version1.69まで
Version1.8
Level
3.1
制限無し(5.2でも可)
High Profile
対応
High10 Profile
非対応
解像度
1280×720(最大)
DPBマクロブロック数
39,600以上(18,000)*2
最大フレームレート
60fps(30fps)*2
60fps
可変フレームレート(VFR)
対応
参照フレーム数(*1)
1280×720で11(5)*1
960×540以下で16(8)*1
Bフレーム連続数
16
最大ビットレート(映像)
約40Mbps(17.5Mbps)*1
約62.5Mbps
最大ビットレート(音声)
AAC 256kbps
AAC 256kbps(*3)または512kbps以上(*4)
ピラミッド参照化
対応
OpenGOP
対応
フルレンジ判定
非対応
デインタレース再生
対応
カラーマトリクス
BT.601(固定)
BT.601およびBT.709両対応

*1 参照フレーム数 = 最大DPBマクロブロック数/(横マクロブロック数*縦マクロブロック数) #1マクロブロックサイズは16×16
*2 括弧内は Level3.1本来のリミット値
*3 MP4Boxを使用した場合の上限
*4 L-SMASH muxer/remuxer(x264_L-SMASH含む)を使用した場合に限り音声256kbps以上のVita対応動画を作成可能

x264での指定例

x264 --level 4.1 --crf xx --vbv-maxrate 17500 --vbv-bufsize 17500 --colormatrix bt.709 -o “out_video.mp4″ “in_video”

今後は、現在主流であるBT.709をVitaでも扱えるようになり、今どきの映像コンテンツとの相性が格段に良くなります。昔の映像(BT.601、smpte170mベースでマスタリングされた映像)はBT.601指定、近年の映像はBT.709をエンコード時に指定してVUIに適用するだけで正しい色が再現されるようになりました。映像やゲーム内動画を製作される方も、BT.709変換によるBT.709指定でクリエイターが意図した色を視聴者・ゲーマーに届けることができます。

また、早戻し/早送り・リピート・可変速再生への対応、十字キー・アナログスティック・○△□×ボタンでの操作も可能となり、キーに慣れた人であれば快適にコントロールできるよう改良されました。映像を観るとき、パネルに指紋が付かず喜ばれそうです。

v1.80で導入されたVitaのキーアサイン
  • 十字キー and 左スティック
  •  項目の移動(全般)
     上・下でシーンサーチ間隔の変更(プレイヤのシーンサーチ)

  • ○ボタン
  •  決定(全般)
     一時停止⇔再生(プレイヤ)

  • △ボタン
  •  コピー・削除へのショートカット(ファイルリスト)
     操作メニュー・ウインドウのON/OFF(プレイヤ)

  • □ボタン
  •  ファイルリストを名前⇔日付でソート(ファイルリスト)
     シーンサーチのON/OFF(プレイヤ)

  • ×ボタン
  •  キャンセル/前の項目へ戻る(全般)
     動画再生の中断(プレイヤ)
     アプリケーションのタスクを閉じる(×ボタン長押し)

    今回のアップデートにより、ようやくPS Vitaが本気を出し始めたかなという印象ですが、欲をいえば本体発売時点でこうあってほしかった……という思いも(とはいえ発売して1年も経っていないのですが)。あとは、ゲームを中心としたVita専用アプリケーションが今以上に潤ってくれることを祈るのみ。ミクさんも降臨間近ですしね。

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    リンク

    PlayStation®Vita | プレイステーション® オフィシャルサイト
    PlayStation®Vita システムソフトウェア アップデート
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    PS Vita の AVC(H.264)デコード能力と仕様(v1.50) 過去記事

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