火が消し止められた社務所内。焦げた畳の上に石油ストーブのタンクがある=28日午前2時すぎ、大町市社 |
28日午前1時15分ごろ、大町市社宮本の国宝仁科神明宮境内にある社務所の火災報知機が作動、北アルプス広域消防南部消防署に通報が入った。大町署によると社務所内で出火、畳約3平方メートルが焼け、同45分ごろ消し止めた。玄関のガラス戸が割れているなど不審な形跡があり、同署は放火の可能性もあるとみて調べている。周辺では4月25日午後10時すぎにも、約200メートル離れた宮本公民館で室内の壁などを焼く不審火が起きている。
社務所の隣には国重要文化財の棟札などを収めた収蔵庫があり、さらに30メートルほど北東に国宝の社殿がある。同署や地元住民らによると、社務所には氏子総代やボランティアの住民が交代で当番に入っているが夜間は無人。27日も夕方までは住民がいたという。
最初に駆けつけた宮司の松井秀吾さん(51)らによると、社殿の無事を確認した後、社務所から煙が上がっているのを発見。玄関戸は閉じていたがガラス戸が割れて施錠が外れ、玄関寄りの部屋の畳が燃えていた。この時期は使わない備品の石油ストーブから燃料タンクが抜き出され、近くに置かれていた。
同署によると、3月には社務所内を物色した窃盗未遂事件も発生していた。松井さんは「対策が必要と考えていたところだった」と沈痛な面持ち。28日朝、神社を訪れた70代の氏子男性は「以前の事件とも関連があるのか。神社が心配だ」と話していた。