2012年08月30日

狭山のことばは公家ことば


「くるしゅうないぞ、ちこうよれ」

時代劇で高級武士が使っていたこのことばを聞いたことのある方は多いことでしょう。

漢字にすると「来る衆無いぞ、近う寄れ」、あるいは「苦しゅう無いぞ、近う寄れ」となり、意味は「安心して近くに来なさい」ということでしょう。

埼玉県入間市に存在した元狭山村は天領でした。平家の名を捨てた「中村家」など高級武士が天領の民となり、二本木村に「宿(しゅく)」を築きました。

ウィキペディアより
中村氏 (相模国)
中村氏(なかむらし)は、日本の氏族。坂東平氏の一つで、相模国西部に勢力を持ち、源頼朝挙兵時にその軍の中核をなした。師長国造の子孫ともいわれる

師長国造
師長国造(しながのくにのみやつこ・しながこくぞう)は相模国西部を支配した国造。磯長国造とも。

国造
国造(くに の みやつこ・こくぞう・こくそう)は、古代日本における地方官である。軍事権、裁判権なども持ち、実質的にその地方の支配者であったが、大化の改新以降は主に祭祀を司る世襲制の名誉職となった。
訓の「みやつこ」とは「御奴(ミヤツコ)」または「御家つ子」の意味とされる

中村党の勢力拡大 [編集]
平宗平は相模国余綾郡中村荘(現・小田原市中村原付近)に因んで中村荘司と称した。中村氏の実質的な始まりだが、一族も発展することとなる。
嫡子の重平は父から中村の名字を継承した。次男の実平は土肥氏を称し、その息子の遠平は小早川氏を称した。三男の宗遠は土屋氏を、四男の友平は二宮氏を、五男の頼平は堺氏をそれぞれ称した。
かくして中村党が形成されたのだが、本宗である中村氏は振るわなかった様で、後に土肥・土屋一族がその中核を占める様になる。
又、宗平の娘である桂御前は、同じく相模国の豪族である三浦党の岡崎義実に嫁ぎ、義忠・義清兄弟をもうけている。この内、義忠は佐奈田氏を称しているが、弟の義清は母方の叔父である土屋宗遠の養子となり、土屋氏を称している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%B0%8F_(%E7%9B%B8%E6%A8%A1%E5%9B%BD)

在庁官人
在庁官人(ざいちょうかんにん)とは、日本の平安中期から鎌倉期に、国衙行政の実務に従事した地方官僚の総称。在庁官人という名前の役職が存在したわけではない。在庁(ざいちょう)、庁官(ちょうのかん)とも。中央派遣の国司が現地で採用する実務官僚であり、国司の側近としての性格があった。国司の現地赴任そのものがほとんどなくなるようになり、そのうちで強大な実力を持ったものは在国司(ざいこくし)とも呼ばれるようになった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E5%BA%81%E5%AE%98%E4%BA%BA

このように、歴史や人物像を、左脳を用いて言語化すると実に無機質に思えてしまいます。権力を持った男どもが支配するのが政治である、その結果が歴史である、と勘違いしてしまいます。
私は、在庁官人を「影武者的公務員」と呼んでいます。民衆の中に溶け込み、一人ひとりの民の力を結集させる、今のことばではエンパワメントさせる良きリーダーであったと考えます。そうすることにより、ジブリ映画「もののけ姫」で宮崎駿監督が訴えた「日本には自由でおおらかな歴史があった」という認識と一致し、この歴史観を共有することで、日本人全体としての誇りが高まるからです。良い意味での「愛国心」が高まるからです。

さて、元狭山村の天領の民は、高級武士や公家が使うことばを日常生活で用いていました。その一つに「お軽うございました」ということばがあります。これは「ごちそうさま」への返答のことばです。私も子どもの頃、親戚の家に泊まった際に、よくこのことばを耳にしました。

「お軽うございました」ということば、なんて美しいことばなんでしょう。宮中でも使われていたことばと考えるのは私だけではないでしょう。

「くるしゅうないぞ、ちこうよれ」の「う」という母音の響きは左脳により認識し言語化されますが、これは世界で日本人だけの特性だそうです。この能力が世界に比類なき高尚な文化を生み出すのです。その美しい独特の文化が今、アメリカ文化の取り入れ過ぎによりズタズタにされています。

元狭山村には、美しいことばや皆が思いやり合う環境がありました。そのことを子どもたちに教えていかなくてはなりません。記録に残していかなくてはなりません。生ある限り頑張るつもりです。

最後に読売オンラインから見つけた記事を紹介します。

「ごちそうさま」へのお返事
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2005/0326/035369.htm?o=0&p=2

私の発見は読売関係には絶対に教えません。読売新聞の読者が哀れでなりません。

posted by S・C・ NAKAMURA at 12:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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