「壁雲」が猛烈な風を遮ったか8月27日 21時19分
今回の台風15号は一時、中心の気圧が910ヘクトパスカルという非常に強い勢力で沖縄・奄美に接近したため、当初は風速50メートル、瞬間風速が70メートルに達する記録的な暴風が予想されていましたが、当初の予想されたほどの猛烈な風は観測されませんでした。
気象庁は「壁雲」と呼ばれる発達した雨雲が、猛烈な風を遮る効果をもたらしたと分析しています。
鹿児島県奄美地方では、26日夜以降、40メートルを超える最大瞬間風速が観測されましたが、当初の予想されたほどの猛烈な風は観測されませんでした。
これについて気象庁は、台風の中心の周りにできた「壁雲」と呼ばれる発達した雨雲が猛烈な風を遮る効果をもたらしたと分析しています。
通常、発達した台風では猛烈な風が外側から中心に向かって吹き込み、中心の「眼」の付近に風が集まって上昇気流が発生します。
この上昇気流が、台風の「眼」の周りにリング状の「壁雲」を発達させ、周辺から吹き込む風を遮るため、台風の「眼」の付近は風が弱くなります。
今回の台風15号では、「眼」の付近だけでなく、その周囲にも上昇気流が強まっていた場所があり、複数の「壁雲」が同心円状に発達していました。
気象庁は、何層もある「壁雲」が台風の外側から中心に向かって吹き込む猛烈な風を遮ったため、台風の勢力の割に風が強くならなかったと分析しています。
26日夜、台風の中心付近が通過したとみられる沖縄県名護市では、台風が近づくにつれて風が次第に強くなっていましたが、通過の直前、3度にわたって風がいったん弱まる時間帯があったということです。
気象庁は、「今回は『壁雲』によって猛烈な風が吹かなかった可能性があるが、通常、台風は勢力が強いほどより強い風が吹くおそれがあるので、今回のような非常に強い台風には十分注意してほしい」と話しています。
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