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☆★☆★2012年08月29日付 |
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香港人の反日活動家らが尖閣諸島に上陸し、日本政府が逮捕・強制送還して以後というもの、中国各地で反日デモが相次いでいることについて、これが自然発生的なものかどうか、わが国のメディアはきちんと検証することが必要なはずだが、どうも現象面だけに目を奪われて本質を捉えていない気がする▼本来中国の官憲が許すはずのない過激なデモ行為を封じ込めないのは、それが日本車を壊したり日本料理店を襲ったりと攻撃対象が日本に限定されるからであり、それこそまさしく官許≠フ証拠だろう。あるいは民衆の不満をそらす一種のガス抜きかもしれないが、いずれ尖閣諸島の位置も歴史も知らぬ烏合の衆が多数交じっている可能性は否定できない▼そんな中国のある地方の高校生たちがデモに参加し、日本なんて大嫌いと気勢を上げている新聞記事を見て、どこか違和感を覚えるのも、参加の必然性が感じられないからだろう▼若い参加者たちそれぞれが手にしているカードの文句が自発的に書かれたものか、どこからの支給品≠ネのかは知るよしもないが、参加者の1人が敵意をむき出しにして日本製品のボイコットを呼びかけていたという記事には、どうしても参加者の感情が自然に伝わってこないのはなぜか?▼特派員たちには、どこそこでデモがあったという事象を表面的に伝えるだけでなく、奥に潜むものをぜひ分析してもらいたいものである。いくら反日教育が徹底していてもそれだけで全国民が反日となるだろうか、ということである。 |
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☆★☆★2012年08月28日付 |
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野田総理は、いわゆる従軍慰安婦問題について、今後も引き続き「河野談話」を踏襲していくと発言した。領土問題で自国の権利を明確に主張し、見直されたばかりなのに、その舌の根も乾かぬうちにまたもや「配慮外交」に戻してしまったことは必ずや憂いを残すことになろう▼「従軍看護婦」、「従軍記者」という言葉は小さい頃から耳になじんでいたが、「従軍慰安婦」という職業など聞いたことはない。しかしその言葉がいつの間にか一人歩きし、そんな存在が実在したかのような発言を宮澤内閣当時の河野洋平官房長官がしたものだから、この談話が「動かぬ証拠」となってしまった▼韓国女性を慰安婦として強制連行した事実などないことは、なんら史実も明確な証拠もないことからも明らかだが、河野長官が当の慰安婦の証言だけを信じて事実と認めたその無責任さは、日本国内でこそ非難されているものの、韓国では鬼の首を取った形となった▼案の定、以後日本政府公認の史実≠ニ化し、韓国から謝罪せよ、賠償せよと責め続けられているのは周知の通り。ソウルの日本大使館前には記念碑まで建てられ、もはや日本の抗弁に韓国人の誰一人として耳を貸さなくなったのも、河野氏一人の責任というより、当時の自民党政府のあいまいさがもたらしたものだ▼もし強制連行を示す証拠があれば、日本国民は反省し、謝罪することもやぶさかではない。だが、多角的にその検証も考証も行わず、ただ漫然と踏襲するという態度はそれだけで問責に価するだろう。 |
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☆★☆★2012年08月26日付 |
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当たり前のことをやってそれがニュースになるのだからおかしな国があるものだ。どこだって?日本という国だ。しかしその当たり前がようやく当たり前になったのだから、日本もようやく「普通の国」の仲間入りをしたようである▼「首相異例の領土会見」という昨日の新聞の見出しを眺めてそう感じた国民は少なくなかろう。竹島も尖閣諸島も北方領土も日本固有の領土であるという事実認識を首相が明確にしたというその会見が「異例」というところが、これまで日本が「普通でない」国であったことを意味する▼なにしろ民主党は竹島が不法占拠されている実態から目をそらし、不法占拠というべき文言を「法的根拠のない支配」と言い換える、まるで奥歯に物がはさまったような対応をしていたのである。相手に気づかうあまり自国の国益まで脇に置く「配慮外交」とやらが、いかに欺瞞に満ちたものか結果がすべてを物語っている▼野田首相は、柔道ならばともかく「押さば引く」外交姿勢は相手に誤ったイメージを与え、それが国家にとって重大な損失につながる危険性をようやく自覚し、戦後外交に通底してきた「事なかれ主義」と訣別する第一歩を印したことは評価したい▼外交とは、片手で握手を求めながら、後ろ手に棍棒を隠し持つ相手と渡り合うことだから、主張すべきは主張して絶対に弱みを見せないことである。ところが、相手の嫌がることはしない、口に出さないことがこの国の基本だったのである。その誤りにやっと気付いたようだ。 |
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☆★☆★2012年08月25日付 |
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ディベート(論争)が嫌いな日本人は交渉も苦手だから、ついなあなあで事を収めようとするが、それが弱腰と見られてつけこまれるという歴史を、国も個人も重ねてきたように思う。韓国のこの隣国に対する居丈高な態度もその延長線上にある▼就任早々は、日本での生活経験もあるだけに日本びいきと思われていた李明博韓国大統領が、最近になってこれみよがしに竹島を訪問したり、天皇に謝罪を求めたりとにわかに豹変しだしたことに日本人は驚いた▼それが落ち目な人気回復の手段とは言え、あまりにも配慮に欠けていたことは国際感覚上いや常識的に見ても明らかである。竹島の帰属にしろ従軍慰安婦問題にしろ、根拠があるなら示せというのが日本のスタンス(立場)で、それには応じずに問答無用と言うだけでは説得力を欠く▼野田首相の親書を読まずに返送し、その受け取りを拒否されると今度は郵送で対抗というのは、どう見ても大人の対応ではなく、衆人環視の中でこの行動は自らの存在を矮小化することにつながるだろう。唇歯輔車の関係にある隣国同士がこのように角を突き合わせるマイナスをどうして熟考しないのだろう▼相手が弱いと見ると嵩にかかるような態度は慎むべきで、いかに骨抜きとなった日本人とはいえ、度が過ぎれば降りかかる火の粉を払わなければならなくなる。こうした時、日本の一部メディアは「冷静に冷静に」と常套文句を繰り返すが、考えてもみたい。冷静になってほしいのはお隣さんの方なのであることを。 |
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☆★☆★2012年08月24日付 |
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これからは地域エゴならぬ「地域エコ」を考えるべき時だろう。生態環境の保全という意味でのエコロジーと、物を大切に使うエコノミーとの相乗化を国頼みにするだけでなく、地域自身が考えていくべきだというのがその提案だ▼例えば再生可能エネルギーは風力、太陽光などさまざま挙げられているが、いずれも膨大な投資が必要であり、被災地に夢を与えようという「スマートシティ構想」も、いざという段になると財源をどうするかがネックとなって空中分解しかねないあやうさがある▼しかし以前本欄で紹介した福島県の実例のように、森林資源が豊富な本県もバイオマス発電の研究開発に本腰を入れて取り組むべきだろう。間伐材を利用した発電は、美林の保護にもつながり、いずれ木材需要の活発化と市況の安定という状況が生まれると相乗作用は一段と増すはずである▼しかし環境の美化という点から捉えると、間伐材だけでなく林地残材や、製材時に出る樹皮やおがくずその他も燃やして残らずエネルギーとする方法も工夫する必要がある。熱効率だけ考えると間伐材以外はゴミに分類されかねないからだ▼だからこそバイオマス発電を単純化して考えず、例えばいま再び脚光を浴びている「スターリングエンジン」との連動なども視野に入れていいと思う。密封したガスを熱して動力を取り出すこのエンジンは、高カロリーの木質部だけを使う必要がないからで、まだ発展途上にあるシステムだが、今後の可能性を研究して見る価値は大いにある。 |
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☆★☆★2012年08月23日付 |
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自分の国を愛せばこそ自国のためになることは支持し、反することには異を唱えるのは自然の理だが、戦後はそれが「偏狭なナショナリズム」と烙印を押される。しかしいくら偏狭と言われようと領土問題に関しては帰属の正当性をどんどん主張しまくることだろう▼北方領土が日ソ中立条約を一方的に踏みにじって参戦≠オ、どさくさまぎれに占領したソ連、現ロシアのいまだ実効支配下にあるのはまさに不法を絵に描いたようなもので、いくらメドベージェフ首相が島を訪問して見せてもそれは領有権を証明することにはならず、いずれ日本国民は4島一括返還を勝ち取る覚悟を捨ててはなるまい▼竹島は元々固有の領土として世界が認めていたにもかかわらず、これまた戦後のどさくさにまぎれて韓国の李承晩大統領が勝手に李ラインを引いて自国領としてしまった。しかし当時の日本政府はその横紙破りを許してしまい、その結果島の領有だけでなく漁船の拿捕を繰り返すなどの横暴をただ指をくわえて見ていたのである▼当時、当方などしきりに悔しい思いをしたのだが、敗戦で気力を失っていた国も国民も実力行使はおろか、外交でも正面から渡り合う積もりなどなかったのだった。そのツケが今に回っているのであり、敗戦とはかくも惨めな結果をもたらすものなのである▼尖閣諸島も同様で、周辺に石油などの豊富な海底資源が埋蔵することが判明してから中国が色気を出し始めたのは周知の通り。このように主張しなさ過ぎが禍根を残したのである。 |
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☆★☆★2012年08月22日付 |
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JR大船渡線の復旧について大船渡、陸前高田両市ともBRT(バス高速輸送システム)での仮復旧を容認することになったのは、鉄路での復旧がきわめて困難な状況での現実的対応といえよう▼被災した気仙沼線、大船渡線、山田線とも当初は鉄路での復旧が地域の圧倒的な要望だったが、時間の経過と共に山田線を除いてBRTでの復旧もやむなしと傾いてきた。車を持たない交通弱者の救済という喫緊の課題が、切実な声となって広がり始めてきたからである▼あくまで鉄路にこだわる山田線の沿線自治体とは異なり大船渡線の復旧に両市ともこだわりを捨てる対応をとらざるを得なかったのは、足の確保もさることながら将来の予想街区と既存の路線との位置関係が変化し、利用環境の見直しが求められるようになったからだ▼新しい街区が高台に構築されるのに、路線が従来のままでは利用に不便をきたすのは明白で、陸前高田市が専用路線ではなく高台を走る新ルートを要望しているのはそのためだ▼気仙沼線では20日からBRTによる専用路線での運用を開始したが、実際はまだ約2`の区間だけで、6割は専用路線を使う計画というものの、その先はまだ漠然としている▼実際、その20日に気仙沼線に沿って北上してみたが、鉄路の復旧に匹敵する投資が必要ではないかと思えた。専用道は定刻運行に必要だろうが、問題もある。それよりは一般道を走らせ、浮いた費用や使わぬ敷地を有効活用した方が得策ではないかと思えてならないのである。 |
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☆★☆★2012年08月21日付 |
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大震災で壊滅的被害に遭った沿岸養殖漁業の早急な立ち直りが待たれ、急がれているが、ただ復旧させるだけでなく以前以上の増収を図れるような技術開発が期待されている。殻付きカキの出荷を増やそうという試みもその一つ▼日本のカキ養殖はホタテの貝殻に稚貝を付着させそれをロープで連ねて海中に垂下する方式が一般的。ただこれだと高値で出荷できる殻付きの比率が少なくなるのが難点。それは形がどうしても不揃いになるからで、結果むき身出荷が多くなる。1粒ずつていねいに育てると殻付きの比率は高くなるものの、手間がかかってコスト高を免れない▼そこに登場したのがヤンマー(大阪市)が開発した新技術。独立した複数の容器を海中に設置し、その中で1粒ずつ効率的に育てるという方法で、従来の方法と比較すると殻付きで出荷できる割合は2、3割から最大で8割もの効率生産が可能という。しかも沖出し後の管理の手間が少なく養殖期間も短縮できるから一石二鳥▼こうして育てたカキをブランド化し、全国のオイスターバー(カキ料理専門店)に出荷できるようになれば、養殖漁家は大きく収入増が見込まれ、後継者も育つはずだ。震災で受けた打撃をこのような形でむしろ福に転じることだろう▼こうした技術開発はひとりカキ養殖にとどまるまい。必ずや類似の養殖方法が考案されるヒントが生まれるからである。ヤンマーの技術は岩手、宮城両県でまず実用実験が始まる。気仙両市はいち早く実用化を成功させてほしいものだ。 |
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☆★☆★2012年08月19日付 |
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尖閣諸島の魚釣島に上陸した香港の活動家ら14人は、日本政府のお目こぼしに≠謔チて無事ご帰還あそばした。日中の友好関係維持上まことにご同慶の至りである。しかし帰りの飛行機代は自費だというのは「強制送還」の名にあたいしないのではないか?▼国内の政治活動には厳しい中国政府が、いくら自国の主張に沿う動きとはいえ、他国の主権にかかわる分子行動≠見て見ぬ振りするのは、実質お墨付きを与えたのと同断で、中国特有の「一国二制度」や「一物二価」と同様、この国の政体には「一体二心」のいかがわしさを禁じ得ない▼こうした官許″s動がまったくボランティアから出発しているのか否かは判然としないが、中に職業的活動家が含まれていることはまぎれもなく、実際逮捕された時のパフォーマンスは国威発揚%I要素がたっぷりだった▼巡視船にコンクリート片を投げつけたり、制止を振り切ろうと当て身をしたりして巡視船を損傷したことだけでも捨てておけぬ犯罪であり、二重、三重に容疑を並べ「厳しく吟味」すべきところを、日本政府はまたもや「臭いものに蓋」をしてしまった。これでは「またもどうぞ」とお願いしたようなものだ▼まずはたっぷりと取り調べし、ブタ箱の味を覚えさせて、「もうこりごり」と反省したところで強制送還するというのが国際的常識。ただし強制だから送還費用は日本国持ちというのが筋だろうが、相手はたっぷりと路銀を用意していたというのが、物見遊山風でどうも釈然としない。 |
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☆★☆★2012年08月18日付 |
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日本人をよくぞここまで腑抜けにしてくれたものだと思うのが、米国の占領政策。民族の気概を支えるバックボーン(背骨)を文字通り骨抜きすることに成功し、何事においても事を構えないことを信条とする民族に仕立て上げた。だから日本固有の領土である北方領土、竹島、尖閣諸島などに上陸されても「厳正に対処する」と口先で言うだけなのだ▼ロシアのメドベージェフ首相が北方領土の国後島を訪問した後の日本政府の対応について同首相が「日本の反応などどうでもいい」と捨てゼリフを吐いたことがすべて物語るように、何をしても強い相手にはすぐ引き下がる国、という印象を与えてしまったことは戦後日本外交の一大汚点というべきだろう▼李明博韓国大統領が竹島に上陸したのも、日本は何もできないという「保証書」が「発行」されてしまったからである。そんな様子を見て香港の反日運動家たちが尖閣諸島上陸を目論まないわけがない。身の安全を担保された上で勝手な主張ができる―これほど楽なプロパガンダ(政治宣伝)はない▼政府はようやく竹島の帰属について国際司法裁判所に提訴することになったようだが、領土問題は絶対に引いてはならない。それは隣家が境界を押してくるのを黙って見ているに等しいからだ▼尖閣上陸を水際で食い止められなかったのなら、逮捕後は運動家たちの顔を隠すべきだった。「やり得」など絶対許さないためである。日本政府はこんなパフォーマンスは結局高くつくことを教えてやる必要があろう。 |
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