僕の高校では毎年、演劇で1位を取るのは、「進学コース」という、国立大学に行くような頭のいいクラスの生徒ばかりだったんですが、それを打ち破って優勝しちゃった。すると、まわりの友達がみんな「栗城は天才じゃないか」って言い出して、僕も「俺は天才かもしれない」と、すっかりその気になってしまいました。
安藤: すごいじゃないですか。
栗城: 完全な勘違いでした(笑)。誉められるものだから、「よし、ちょっと東京に行ってくるわ」と言って出てきたら、全然ダメで、ニートになっちゃった。
安藤: でも、「作り手になりたい」という欲求と、「作ったものを見てみんなに喜んでほしい」という気持ちは、栗城さんの中に高校時代からあったということですね。エンターテイナー的な部分が。
栗城: はい。だから今も、ただ山に登るんじゃなくて、みんなと一緒に楽しみたいという思いで、自分の登山を撮影したり中継したりしているんでしょうね。
栗城にとって、たとえばエベレストに登るっていうのは、一言で言うと「お祭り」なんです。だから、みんなで楽しみたいし、盛り上がりたい。生中継なんか、そのためにやっているところがありますね。お祭りって、よくわからなくても、見ているとすごく盛り上がって、「また来年もやろうね」となるじゃないですか。ああいうのが好きなんです。
二つの人格を無意識に使い分けている
安藤: そういえば私、世紀の発見をしたんですよ。栗城史多に関して。
栗城: いきなり何ですか?
安藤: 栗城さんには一人称が二つある、ということに気がついた。
栗城: 一人称?
安藤: 自分のことを「僕」って言ってるときと、「栗城」って言ってるときと、二通りあるんです。
栗城: へえ、そうなんですか。わからないな。
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