栗城史多×安藤美冬 【第1回】 「ぼくはニート出身ですから」ソーシャルメディアで情報発信を続ける登山家はどうやって人の心を動かすのか

2012年08月26日(日) 安藤 美冬
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栗城: 僕の高校って、北海道の田舎にあったんですが、文化祭にやたらと力が入っていたんですよ。イケている男子は山車(だし)を作ってディズニーランドみたいに町をパレードしたり、女子は衣裳を考えてダンスを披露したり。ところがイケてない連中はそういうことができなくて、演劇に行くんです。

安藤: じゃあ、栗城さんはイケてなかった?

栗城: はい。イケてない方でした(笑)。演劇部では、1年から3年まで全員、持ち時間30分でオリジナルの劇を作らなければいけないんです。しかもそれが点数で評価される。

 だからみんな、演劇部に入ったのに台本も演出も役者もやりたがらなくて、「照明やりたい」とか裏方を希望する人ばかり。なんか暗いでしょ。全員が照明をやってどうするんだ、照明を当て合うわけ? みたいな。

僕の登山はみんなで楽しむ「お祭り」

安藤: その中で栗城さんは表に出る方を選んだんですか?

栗城: 「1年生のときから裏方に回っていたら、イケイケ集団に3年間いじめられてしまう」と思ったんです。そこで自分でオリジナルの劇を作りました。最初に作ったのは、原始時代が舞台で、そこにタイムスリップによってラジカセが現れる。原始人がそのラジカセから流れてくる音楽を聴きながら、30分くらい延々と踊るんです。

安藤: どんなオチなんでしょう。

栗城: 最後に、探検隊が出てきてその原始人を殺してしまうんです。実はそれは原始時代ではなくて、現代のものすごい奥地の、それまで先進国の人がまったくたどり着いていない土地だったという。

安藤: 微妙なオチのような気がしますけど・・・(笑)。

栗城: 僕は微妙なオチが大好きで、そんな劇ばかり3年間作っていたんです。だいたいは自分で書いて自分で出る一人芝居のようなものでしたけど、3年生のときに、僕の劇が1位になったんです。

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