栗城史多×安藤美冬 【第1回】 「ぼくはニート出身ですから」ソーシャルメディアで情報発信を続ける登山家はどうやって人の心を動かすのか

2012年08月26日(日) 安藤 美冬
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頂上で泣くのは演技なのか?

安藤: 栗城さん、そういう自分の不完全さをうまく見せているのがすごいですよね。ちょっと悪い言い方をすると、「ずるい!」みたいな。

栗城: ハハハ、ずるいのか~。でも、ただ山に登る屈強な登山家を見ても、つまらないじゃないですか。極限の場所に行くと、人間はいやでも自分の弱さがどんどん出てしまうわけでしょ。つらいとか苦しいとか。そういう部分は素直に出して伝えていきたいし、見る人に感じてもらいたいなと思って。

安藤: でも、自分撮りのカメラの前で泣いたりすることに、躊躇はないんですか。

栗城: あんまりないです。僕、ものすごいナルシストだから(笑)。そういう、さっきの言葉で言うと「栗城劇場」的な部分も含めて、自分の冒険だと思っているんです。

 でも、自分撮りについては、映像のプロデューサーや演出の方に驚かれることがあるんです。栗城は頂上に着くと、三脚を置いて、アングルを考えて、それから泣き始めると。

安藤: 普通は、頂上に着いた瞬間にわっと泣くはずなのに(笑)。

栗城: でも、別に演技をしている訳じゃないんですよ。最高峰に登ったという事実に感動して泣いている自分も、それを客観的に見て人に伝えようとしている自分も、両方とも同じ栗城です。人に話すと、「不思議な感覚だね」と言われますけど。

安藤: 高校時代に演劇部にいらっしゃったんですよね。その経験のせいで、「登山家・栗城史多」の役柄をナチュラルに演じているように見えるのかな。

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