頂上で泣くのは演技なのか?
安藤: 栗城さん、そういう自分の不完全さをうまく見せているのがすごいですよね。ちょっと悪い言い方をすると、「ずるい!」みたいな。
栗城: ハハハ、ずるいのか~。でも、ただ山に登る屈強な登山家を見ても、つまらないじゃないですか。極限の場所に行くと、人間はいやでも自分の弱さがどんどん出てしまうわけでしょ。つらいとか苦しいとか。そういう部分は素直に出して伝えていきたいし、見る人に感じてもらいたいなと思って。
安藤: でも、自分撮りのカメラの前で泣いたりすることに、躊躇はないんですか。
栗城: あんまりないです。僕、ものすごいナルシストだから(笑)。そういう、さっきの言葉で言うと「栗城劇場」的な部分も含めて、自分の冒険だと思っているんです。
でも、自分撮りについては、映像のプロデューサーや演出の方に驚かれることがあるんです。栗城は頂上に着くと、三脚を置いて、アングルを考えて、それから泣き始めると。
安藤: 普通は、頂上に着いた瞬間にわっと泣くはずなのに(笑)。
栗城: でも、別に演技をしている訳じゃないんですよ。最高峰に登ったという事実に感動して泣いている自分も、それを客観的に見て人に伝えようとしている自分も、両方とも同じ栗城です。人に話すと、「不思議な感覚だね」と言われますけど。
安藤: 高校時代に演劇部にいらっしゃったんですよね。その経験のせいで、「登山家・栗城史多」の役柄をナチュラルに演じているように見えるのかな。
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