栗城: 泣いている僕がそんなに印象に残ったんですか。
安藤: 1年くらい前にアメリカでベストセラーになった『Fascinate』(邦訳『魅きよせるブランドをつくる7つの条件』)という面白い本があります。ここに、多くのファンを持つ人間の条件として「人々の感情を大きく動かす」ということが挙げられているんですよ。栗城さんの場合、テレビで見た人も含めて、いろいろな人の感情を大きく動かしているから、強烈なファンを生んでいるんじゃないかと思います。
ただし、人の感情を大きく動かすと、ファンだけではなくて、逆にアンチも生むらしいですけど。
栗城: 安藤さんがNHKの番組を見て、僕のアンチにならなくてよかった(笑)。
安藤: そうやって人の感情を動かすことを、栗城さんはどれだけ意識的にやっているんですか? 全部わかっていて、「栗城劇場」的に自分を演出しているのか、それともナチュラルなのか。
栗城: う~ん、それについては言える部分と言えない部分がありますね。
ただ、仮に僕が人の感情を動かしているとしたら、「リアルだから」という部分が大きいと思います。これまで登山や冒険を撮影するときは、多くの場合、グループを組んで、カメラマンが先に登って、後から登ってくるメンバーを撮る、ということをやっていた。ところが栗城は一人で、撮影もカメラマンなしで自分撮りでやってしまう。そこがすごくリアルに見えたんじゃないですか。
もう一つ、本当に普通のお兄ちゃんだということもあるでしょうね。「ああいう普通のお兄ちゃんがヒマラヤに登れるんだ」という風に、見た人が夢を持ってくれるのかもしれない。もし僕が小さな子供の頃から山に親しんでいて、この世界のエリートとかスーパースター登山家のような人間だったら、ちょっと違ったと思います。でも、もともとニート出身だし(笑)。
- 栗城史多×安藤美冬 【第1回】 「ぼくはニート出身ですから」ソーシャルメディアで情報発信を続ける登山家はどうやって人の心を動かすのか (2012.08.26)
- 猪子寿之×安藤美冬 【第3回】 日本再生の鍵は、個人の自由を尊重する合理的かつ寛容な社会になること (2012.08.19)
- 猪子寿之×安藤美冬 【第2回】 サンフランシスコで出会ったゲイカルチャーの衝撃 (2012.08.12)
- 猪子寿之×安藤美冬 【第1回】 ランドセルで高校に通った伝説を持つ「異色の天才」猪子寿之はどうやってつくられたのか (2012.07.15)
- 猪子寿之×安藤美冬 【第2回】 サンフランシスコで出会ったゲイカルチャーの衝撃 (2012.08.12)
-
-
-
-
-
真壁昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」有り余る投資資金の行先が見つからない!? (2012.08.29)