マエケン「琢朗さんとＣＳ」セ・トップタイ１２勝…広島

７回３失点で１２勝目を挙げた前田健

　◆ヤクルト３―１０広島（２８日・神宮）　一呼吸置いて、前田健が歓喜に沸くスタンドに向かって絶叫した。「皆さん知っての通り、琢朗さんが引退を表明しました。琢朗さんのために絶対にＣＳに行きましょう！」。チーム最年長の石井が２７日に今季限りでの引退を表明。負けられない思いを胸に、エースが久々に意地を見せた。

　４回に先制を許すなど本来の投球ではなかったが、７回を５安打３失点。防御率１位こそチームメートの野村に譲ったが、巨人・内海に並ぶハーラートップの１２勝目。１日のＤｅＮＡ戦（横浜）以来約１か月ぶりの白星で、自身の連敗を３で止めた。バットでも６回に２点を勝ち越し、なお１死二塁の場面で左翼線二塁打を放ち、大きな４点目を呼び込んだ。

　１８歳年上の石井には、公私にわたって面倒を見てもらった。関東遠征では都内の石井宅に何度も招待された。上位進出のために大事だと教え込まれたのは「経験」。試合前、クラブハウスで「皆さん、僕をＣＳに連れて行って下さい」と頭を下げた大先輩の頼みを聞かないわけにいかなかった。

　チームは１１泊１２日のロードの初戦を制し、５割復帰。ヤクルトとの差を再び３・５に広げた。次戦は今季初の中４日で９月２日の阪神戦（甲子園）が濃厚だ。「偉大な琢朗さんの最後をＢクラスで終われない。フル回転で結果も残したい」と宣言。クラブハウスでは、待ち構えた４２歳の石井と力強くハイタッチを交わした。