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ニホンカワウソ「絶滅種」変更で高知・須崎市、ゆるキャラ白紙

魚を食べるニホンカワウソ=1979年6月、高知県須崎市の新荘川(高知新聞社提供)
魚を食べるニホンカワウソ=1979年6月、高知県須崎市の新荘川(高知新聞社提供)
Photo By 共同 

 環境省は28日、国の特別天然記念物で「絶滅危惧種」に指定されていたニホンカワウソについて、棲息を30年以上確認できていないことから絶滅したと判断し「絶滅種」に変更した。かつては全国に棲息していたことから、イメージキャラクターとして採用してきた自治体なども多く、カワウソは国内に存在しないとの指定に落胆する声も聞かれた。

 ニホンカワウソは毛皮目的の乱獲や河川の汚染で棲息地が破壊されるなどし、急速に激減。79年8月に高知県須崎市で確認されて以降、国内での目撃例はない。環境省によると、昭和まで生存していた哺乳類を絶滅種に指定したのは初めて。

 須崎市市役所には、この日朝から報道陣の問い合わせが殺到。市企画課の樋口正文主幹(41)は「生存していると思っていたので残念です」と声を落とした。市は、最後に目撃された新荘(しんじょう)川にちなみ、93年からマスコットキャラクターの「しんじょう君」を浸透させてきた。ホームページ、パンフレットなどの印刷物にも数多く描かれ、市民に親しまれてきたという。樋口さんは「3カ月ほど前から、着ぐるみを製作しようと、ニホンカワウソのゆるキャラを公募しようと企画を練っていたところ。これで白紙の状態になった」と困惑気味。当の「しんじょう君」名義でツイッターに「かわうそ絶滅なんてかわうそう」と精いっぱいのおやじギャグが更新されるなど、ショックの様子だ。

 高知県警察本部はニホンカワウソをモチーフにした「ポリンくん」と「ポーリーちゃん」をシンボルマスコットとしてきた。報道担当者は「今後も変更する予定はありません」としており、引き続きキャンペーン広報活動に登場するという。

 また、下水道のキャラクターに「カワウソ一家」を採用している千葉市は「カワウソが戻れるようなきれいな川にしたいとの願いから95年に採用した。絶滅したのは残念だが、キャラクターとしてそのまま使っていく」(建設局下水道管理部)と話している。

 ▽ニホンカワウソ 食肉目イタチ科。体長1メートル前後、体重4〜10キロ程度。長い尾と短い足が特徴で、足には水かきがある。二本足で立つことからカッパのモデルとも言われた。夜行性でウナギ、アユなどの魚類やエビ、カニなどを捕食。かつては北海道から九州の日本全域に棲息、明治時代中期までは都内の荒川でも目撃情報があった。吉田戦車氏の4コマ漫画「伝染(うつ)るんです。」の主人公・かわうそくんや、劇場版アニメ「ガンバとカワウソの冒険」(91年)にも登場する。

[ 2012年8月29日 06:00 ]

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