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今朝(8月28日)の朝刊各紙に文部科学省の学校基本調査に関する記事が出ていた。日経の記事によると、56万人の大学新卒者の内、8.6万人が就職も進学もしなかった。更にその内3.3万人は就職・進学の準備をしていないニートである、と判断されると述べている。
若者が安定した職につけない理由は色々あるが、例えばクラウド・コンピューティングの発展もその一つだ、と考えさせる記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。記事はクラウド・コンピューティングに力を入れるアマゾンの話が中心だが、その中に次のような話があった。
サンフランシスコに拠点を置くGoodDataという会社はA.W.S.(アマゾンのクラウドサービス)を使って、6千社の顧客のために見込み客情報の提供、といったサービスを行なっている。GoodDataの社長は「以前であれば各社はこの作業に最低5名が必要だった。つまり6千社では3万人の人員が必要だった。しかし私の会社は180人で総ての作業をこなしている。」
つまり数字上は日本の新卒ニートの数に近い雇用がクラウドコンピューティングに食われてしまった、と言える。
コンピュータに職を奪われるのは、今に始まった話ではないが、クラウドコンピューティングが脅威的な理由は、コストが極めて安いことにある。コストが安いということは、優れたアイディアを持つ人間にとっては簡単にビジネスを立ち上げることができるようになった、ということだ。
タイムズの記事にはCueという会社の例が出ていた。この会社は5億件の電子メール・フェイスブック・会社の文書等をスキャンして、仕事で会う人物等必要とする人物の略歴を作成している。Cueはベンチャー企業だ。Cueの社長は「我々は10名のエンジニアを抱えているが、A.W.S.を使わないとすると、60人のエンジニアが必要だと保証する。今会社は毎月10万ドル以下の費用をアマゾンに払っているが、もしクラウドを使わず自分でシステム構築をするなら、月々2百万ドルはかかったのではないか」と述べている。
アマゾンなどが提供するクラウドコンピューティングは、起業マインドと卓抜なアイディアを持つ若者にとって大きなビジネスチャンスを与える。少ない元手で、素早くビジネスを立ち上げることができるからだ。
それはwinner-takes-all(勝者独り占め)の勝負でもある。新しいビジネスを立ちあげて、多くの雇用機会を奪うか、あるいは奪われる側に陥るか?の苛烈な勝負である。
コンピュータ業界の巨人、グーグルやマイクロソフトもアマゾンと同じようなクラウド・コンピューティングサービスに力を入れ始めている。ということは今後クラウド・コンピューティングの利用料金は益々低下すると考えられる。そしてその結果、益々多くの雇用がクラウドに食われると考えられるのである。
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コラムニスト。元三井アセット信託銀行執行役員
2012年06月18日 ガイドラインを変更しました。