事件【主張】大使公用車襲撃 「反日無罪」は看過できぬ2012.8.29 03:47

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【主張】
大使公用車襲撃 「反日無罪」は看過できぬ

2012.8.29 03:47 主張

 北京市内の幹線道路で丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公用車が2台の車に襲われ、日本国旗を奪われる事件が起きた。

 日本国を侮辱する無法を許し、外交官保護を定めたウィーン条約をないがしろにした中国政府の重大な失態である。

 日本大使館の厳重抗議に対し中国外務省は「遺憾」の意に加え、「事件の再発防止に全力を尽くす」「関係機関が真剣に調査を進めている」などと言明した。中国政府はこの約束を厳に守らなければならない。

 背景には、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立がある。15日に尖閣に不法上陸した香港の活動家らを沖縄県警などが現行犯逮捕して強制送還した後、中国各地で反日デモが2週連続で起きた。

 満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から81年にあたる9月18日に反日デモを呼びかけるネットの書き込みもある。

 問題は中国で日本を攻撃する行為は何でも許されるという「反日無罪」の風潮が目立つことだ。

 今回の襲撃事件直後、中国版ツイッターには、襲撃した男らを英雄視する意見が相次いだ。既に日本車が破壊されたり、日本料理店や日系企業が標的になり、在留邦人の安全も脅かされている。こうした風潮は到底看過できない。

 尖閣に不法上陸した活動家らの反日団体は昨年、黒竜江省の県政府が建立した日本の旧満蒙開拓団員のための慰霊碑にペンキをかけ、ハンマーで破壊した。にもかかわらず実行犯5人は警察の事情聴取後、釈放された。

 暴挙を批判した中国国営中央テレビの著名キャスターは、ネット上で総攻撃を受けている。

 中国政府は共産党大会という秋の重要行事を前に国内安定を最優先し、「格差是正」などを標榜(ひょうぼう)するデモは絶対許さない方針だ。

 今回の襲撃には、米国務省報道官も異例の懸念を表明した。国内治安を優先する一方で、民衆の不満の「はけ口」として反日デモの暴走を黙認するというのなら、北京五輪や上海万博を開催した大国の実績が泣く。

 海上保安庁がやっと公開した反日活動家の尖閣不法上陸のビデオ映像には、海保の巡視船にれんがを投げつける暴走ぶりが映し出されている。日本政府は尖閣領有の正当性とともに、こうした証拠をもっと積極的に発信し、国際世論の支持を高めるべきだ。

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