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医師流出止まらず

2012年08月25日

 ●県中地域で深刻化

 原発事故の影響による県内の医師数減少に歯止めがかかっていない。2024人いた病院の常勤医は8月現在で79人減少し、特に県中地域では医師の流出が深刻化している。救急医療への影響も懸念され、県外に流出した医師やその家族に対する安心確保策が急務となっている。

 県内の医療関係者が参加して23日に開かれた県地域医療対策協議会で、県が明らかにした。県の調査によると、8月1日時点で県内の病院に勤務する常勤医数は1945人で、原発事故前の2024人から79人減った。原発事故前と比較した減少数は、昨年8月時点が46人の減少、昨年12月時点が71人の減少と拡大。今年4月は64人減と改善の兆しが見えたが、8月にはさらに15人が減少した。

 地域別にみると、減少数が最も多いのは相双地区の46人だが、大半が避難区域で休止中の病院に勤務していた双葉郡の医師。相馬やいわきの医師数はほぼ震災前まで回復したという。一方、県中地域では31人の減少と医師不足が深刻化している。この日の協議会では「診療科によっては今にも崩壊しそうな病院がある」などの訴えが相次いだ。

 県は昨年度、被災した医療関係者を雇用する病院への人件費補助などに3億1千万円を支出。県内病院への就職に結びつけるドクターバンク事業で4人が就業するなど対策に懸命だが、震災前の水準に届いていない。県病院協会の前原和平会長は「医師の家族の安心につながる対策や、復興への意欲を持つ医学生の育成に取り組むことが重要」と話した

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