鎌田様
先日はご面談いただき有難うございました。御社とのWIN―WINの関係を構築できるものと確信いたしました。
さて、僭越ながら私にできる仕事を2件お伝えしたいと思います。
1件目はANAのサービス向上の件、2件目はビル管理の件です。
1、ANAのサービス向上の件
先週の15日、16日に福岡で研修会がありました。ANA(往路)とJAL(復路)のフライトを利用した感想です。
結論は「JALの方がサービスの品質が高い」というものです。反対に言えば「ANAには改善すべき点が多い」ということです。
具体的にいくつかの改善点を指摘します。
ANAの最大の問題点はJALが行なっている当たり前のことができていないということです。利用した航空機はどちらもボーイング777でした。この機種の床面の高さはジャンボより高いようであり、ゲートの床面との間に10cmほどの段差が生じます。
福岡空港到着時、ANAのCAは機内のアナウンスで、乗客にこの段差に気をつけるよう促していましたが、段差付近でのCAの呼びかけはありませんでした。
JALは違いました。機内アナウンスはありませんでしたが、降機口でCAが乗客に肉声で注意を呼びかけていました。
この対応の差は決定的です。私はアトラクション経験者です。絶対に行なわなくてはいけないことは何かを知っています。もちろん、○さんや福島文二郎※さんも同じでしょう。正直、こんなこともできていないのかとビックリした次第です。
これはSCSEのセーフティーの領域ですが、CSEの分野でも改善するところがたくさんあります。つまり、SCSEすべてにおいてJALの仕事の方が、ANAより品質が高いと言えるのです。
見方を変えて説明します。ANAでもJALでも発券カウンターはTDLの「チケットセラー」の機能を有しています。搭乗口での航空機内への搭乗手助けは「チケットレセプショニスト」の仕事です。CAの仕事は「スターツアーズ」のフライトアテンダントの仕事とレストランのフロアーキャストの仕事を足したようなものです。
さらに言えば、機内からの脱出をTDLではエバキュエーションと言います。ANAの仕事ではありませんが、空港内の保安業務はセキュリティの仕事と同じです。
運営部のすべての部署とセキュリティ課でスーパーバイジングしてきた私からみると、ANAの仕事の品質はJALの仕事と比較し見劣りがします。
さらに例をあげます。搭乗口でANAのスタッフが使用している言葉は変です。お客様には「事前改札」「優先改札」と言っても理解してもらえませえん。JALでは「おはようございます」という挨拶をされましたが、ANAのスタッフは挨拶ができていません。
スマイルもJALの方が上でした。空港のスタッフに限らずCAのスマイルもJALの方が上品です。TDLのキャスト同様、JALにはスマイルの「準備」ができているのです。残念ながらANAにはその「準備」ができていませんでした。
<このディズニー・モード部分は企業秘密によりカット>
もちろん「方程式」にはなっていませんが、ディズニーのスーパーバイザーが特に大切にしている「シーケンスsequence(順番通り)」論には当てはまります。プレショー、メインショー、ポストショーの考え方とも通じるものがあります。
接客時にこのモード切り替えがうまくできているのがJALであり、反対にまだまだなのがANAであるといえるでしょう。ホスピタリティとサービスの違いを理解しているのがJALで理解できていないのがANAであるとも言えるかも知れません。
両社のこの違いは何十年という時間の経過から生じたものです。大きな組織であり、一朝一夕に変わるものではないでしょう。しかし、です。もし、御社の力でANAのサービスの品質がJALを上回らせることができたとするならば、これほど名誉なことはないものと考えます。
たまたま、御社に伺った後のANA利用でした。しっかりとスーパーバイザーの目で見てしまいました。今回の経験が何かに生かせたら幸いです。
(羽田空港はANAとJALはターミナルが違います。ANAの搭乗ゲート付近の床面は鉄部がさびていたり汚れていたりしていました。空港にさびはふさわしくありません。カストーディアルができていないようです)
2、ビル管理に関する件
ビル会社の運営責任者を「違いが分かるプロに育てる教育」のニーズが高いと思われます。警備会社や清掃会社の手抜きやdiscourtesyを見抜き、エレベーターなどの施設の異常を「感知」することができる「違いが分かるプロ」の育成事業です。もちろん、担当者の教育だけではなく、現場モニターも業務に含まれます。
さらに、今後この事業は「非常事態対応」という分野において、日本中から注目を集めていくことは間違いありません。
大地震時の対応やいわゆる帰宅難民と言われる人たちへの支援などですが、それ以上に大切なことは災害に対する「準備」です。非常事態マニュアルの整備や資材の備蓄、テナントや従業員への教育や支援など、ディズニーレベルまでとは言いませんが、ビル会社が、日本の行政が行なっている防災サービスの何倍も品質の高いサービスを提供することができれば、ビルのバリューは確実に高まります。他のビルとのソフトウエア面での差別化により、競争に勝てます。
清掃、メンテナンス、警備、そしてこの非常事態対応の分野では、ディズニーの知識とノウハウは卓越しています。ソフトウエアの力でビル自体のバリューを高めることができるのはディズニー出身者しかいません。
緑化された屋上の維持管理など、環境問題との関連付けからもビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
ビルオーナーと管理会社のビルのバリューアップ事業は、日本には存在しないでしょう。ビルを「パーク」と考えれば、バリューを上げるためにやるべきことはいくらでもあります。ビックビジネスにつながる可能性が高い、私はそう思います。
※福島文二郎
鎌田さんの会社ビジョナリー・ジャパンから独立、現JSパートナー株式会社 代表取締役
http://www.renaissance-eyes.com/request/2010/05/post_494.html私の元部下であり、友人。彼の家に行きとても素敵なお母様の手料理をごちそうになった事が記憶によみがえる。彼の結婚式のスピーチでそのことを話した事が思い起こされる。西武ライオンズファンであり、一緒に西武ライオンズ日本一を見届け、西武線の列車内を「アトラクション化」してしまったことが、なつかしい。