体の一部もぎとられた=1億円バイオリン押収された堀米さん


ベルギー在住のバイオリニスト、堀米ゆず子さんにとって東京から欧州への移動は日常だったが、今回はマーラーの交響曲並みの劇的な旅になった。

Artists Management M. Hirasa Ltd.
1741年製ガルネリを持つ堀米ゆず子さん

堀米さんが保有する1741年製のガルネリ(時価約1億円)がドイツの税関当局に押収された。伝えられるところによると、同当局は、返還に際して19万ユーロ(1900万円)の輸入関税を求め、さらに罰金を科す可能性もあるとしている。

堀米さんのマネジメント事務所によると、当局は堀米さんが16日に経由地のフランクフルト空港を出発する際、正式な所有者であることを示す書類がないとの理由でバイオリンを押収した。

1週間後、堀米さんのバイオリンはまだドイツ当局が握っている。税関当局のコメントは得られていない。

バイオリンは1986年に日本で購入した。18世紀のイタリアの巨匠ジュゼッペ・ガルネリ・デル・ジェスが製作したものだ。

東京出身の堀米さんは、80年にブリュッセルで行われたエリザベート王妃国際音楽コンクールでの優勝で注目を集めた。コンサートバイオリニストとしての32年の経歴のなかで、ロンドン交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニックなどと共演している。

堀米さんによると、通常旅行する際は必要書類を携帯しているが、今回は家に置いてきてしまった。翌日急いでブリュッセルの家に書類を取りに帰り、ドイツの税関に提出したが、バイオリンは戻ってきていない。所属事務所によると、申告をすべきだったというのが税関側の考えだという。

堀米さんはその後、弁護士を探している。生活に欠かせないものだということが証明できれば、税金や罰金を払わずに済むことも考えられる。

22日は、「体と魂の一部をもぎ取られたようで悲しい」との文書を発表した。ドイツ政府にできるだけ早い返還を訴え、「全世界の器楽奏者が不安なく旅行できるよう対処をお願いしたい」としている。

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コメント (5 / 6)

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    • 自己所有楽器を密輸扱いは酷いな・・・
      22日には自己所有証明提出済みらしいけど、まだ返還されていない様子。
      Wikipediaみたら即日編集者が犯人扱いのように書いてあってびっくり。
      悪意があるように見えたので何度も編集したら荒らし扱いされてこれもびっくり。
      所詮クラシック知らない人になにが分かるんだろうと思いつつ
      犯罪なわけではないから、事務所にお任せ。

    • 何でこんなに高いバイオリン使ってるんだろう。 特別な音色なんだろうけど貧乏人には才能あっても手が届かないね 芸術っていくらお金出しても買えないものじゃないの

    • 残念でしたw

    • これは…
      法的手続き上しかたないんじゃないかな
      税関も悪意があったわけじゃないだろうし
      書類がないと「嗜好品」扱いで19%の関税がかかるんだよね
      価値が一億円だったってのが悲劇=19%で約19万ユーロ、1900万円

      払えなくて一時引き取り(押収)されてるんだろうなぁ
      まぁ、商売道具(下品な言い方)だと証明できるならすぐに返還されるでしょう

    • マネジメント事務所は無能












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