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 クマの耳について(3月10日、11日実施)

ヒグマは聴力の大変優れた動物です。このヒグマはどれだけ耳が良いのか。また、ヒグマだけでなく色々な生き物の耳、またその役割についても紹介をします。
 人の耳の形はみなさんあまり変わりないですね。でも動物では種類や住んでいる場所によって形や大きさに違いがあります。動物には、「アレンの法則」といって、暖かい地域に住む動物より、寒い地域に住む動物のほうが、耳・脚・しっぽ・くちばしなどが体全体の大きさの割に小さくなる法則があります。実は、動物の耳というのは、音を聞くためだけのものではなく、体温を調節する所でもあるのです。人は、汗をかくことで体温を調節していますが、動物には汗をかく汗腺という機能がない動物がほとんどです。ですから、暖かい所に住む動物は、できるだけ多くの熱を外に出して、体温を下げなければならないので耳は大きくなります。逆に寒い所に住んでいる動物は、できるだけ熱を外に出したくないために耳は小さくなります。
 動物によって外耳の形に違いはありますが、内耳にはあまり大きな違いはありません。外耳を持たないアザラシやカメなどもいます。また、魚にも耳がありまして体に側線と呼ばれる穴があります。そこで、振動を感じバランスを取っています。昆虫の一部にも「耳」を持っているものもいます。                 また、耳は、平行感覚や回転運動を感じる器官でもあります。これらの働きによって、体の運動を感じることができるのです。 人と動物では内耳に大きな違いがないのに、聴力はかなり違ってくるのでしょう?それは、音を感じる細胞の数が、動物によって異なるからです。聴力が優れている動物ほどその細胞が多いようです。
ヒグマは聴力に優れ音に対して敏感です。野生のヒグマの場合、食事の最中は頻繁に、また休息中もたびたび顔を上げて、あたりをうかがい警戒しています。耳はいかにも緊張させているという感じで、音で危険を感じています。山を歩いていて、今まさにクマが通った足跡があっても、クマの姿は見えないことがたびたびあります。これは、クマがいちはやく人の足音や話し声を聞きつけて逃げたり隠れたりしているからで、人よりもクマのほうが聴力が優れているためです。
 100m離れた冬ごもり中の親子グマで鈴と笛の効果を試したところ、鈴のほうがクマの反応が大きかったという報告もあります。人が山に入るときは、鈴を腰やリュックにぶら下げれば、鈴は音が大きく、鋭い音がでるので、遠くまで音が届きクマのほうが先にいなくなってくれると思います。そのため、クマよけの有効手段と言われています。
 クマ牧場ではユキコという名前のメスのクマがいました。このユキコは、6年前32才で老衰で死んでしまいました。そのユキコも二十代後半になると、足腰や首の動きがぎこちなくなり、目の前にあるエサがわからないようになって、目も鼻も弱くなっていました。飼育係が声をかけても、どこから聞こえてくるのか分からなくなることも多くなりました。それでも、ユキコと付き合いの長いベテランの飼育係の声には反応していたので、その人の声だけはしっかり覚えていたのでしょう。クマも年を取るとだんだん耳が遠くなっていきます。
 身近な動物にネコがいます。遺伝的に白の毛色は生後数日目から内耳の器官が退化し始めるそうです。白ネコで、一番耳が聞こえない可能性が大きいのは、青い目の白ネコです。
 昔、人を食い殺したことのあるクマを数多く射止めるなど、勇ましいアイヌがいたそうですが、彼は、クマを射止めることを聞いてもなにも語らなかったそうです。彼が言うには、「クマは神様で、クマ捕りのことを話すと、クマの悪口になり、どこかでクマの神様がかならず聞いているから話さない」のだと口を閉ざしていました。それくらいクマは聴力に優れているということが昔から人に知られていました。
 ここで飼育しているクマは耳が遠くなってもそれほど生きていく上で支障はありませんが、野生では耳が遠くなるというのは致命傷ともいえます。それは、危険から身を守ることが遅れるということです。クマ牧場の飼育係の人たちは、耳や足腰の弱ったじいちゃんグマやばあちゃんグマたちに、安心して老後を過ごせるように大事に世話をしています。















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