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研究室

臨床利用研究室

当部門は「脂肪酸栄養,臨床系」(浜崎・長澤)と「脂質代謝の制御を基盤とした漢方生薬の新規な薬理作用機構の解明」(渡辺)の研究から成る。以下に,両グループの最近の活動を記載する。

コレステロール関連の疫学調査(脂肪酸栄養,臨床系,浜崎・長澤)
魚油の研究以外にコレステロールの研究をしているが,コレステロールと総死亡率の研究を紹介する。1995年以降に発表された,日本の住民5000名以上を5年間以上追跡した論文でメタ分析したところ,図のように高コレステロールが危険でないことが判明した。(カラムの幅は人数に比例,延べ17万人)。コレステロールが増えても総死亡率の危険性は増えないのである。なお,長澤は,金魚の鱗(骨組織)を用いて各種脂肪酸の骨芽細胞と破骨細胞への影響を見ており,軟骨に多く発見されるミード酸が,骨化を抑制することを発見している。

脂質代謝の制御を基盤とした漢方生薬の新規な薬理作用機構の解明(渡辺)

  • 1. 熊胆の代替品としての動物胆の有用性と安全性に関する研究
    日本では熊胆はおもに家庭用の健胃薬に配合されてきたが,熊胆を家畜動物に由来する胆汁(動物胆)で代用する必要性が生じてきた。そのために動物胆が熊胆の代用品として用いることが可能とする科学的根拠を得ることが必要である。最近牛由来の胆汁(牛胆)の膵臓リパーゼ活性化作用が,熊胆のそれと同等であることを見出した(J. Ethnopharmacol., 125, 203-206, 2009)。
  • 2. 脂質代謝の制御を基盤とする脂肪性肝炎の改善に関する研究
    マウスにおける脂肪性肝炎モデルを用いて,脂肪肝の形成や炎症反応における脂質代謝の役割や,脂質代謝の薬理学的制御が脂肪肝および肝炎症状に及ぼす影響を解析している。特に漢方薬や食餌性脂質の影響を,ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー-質量分析を用いたリピドミクス解析を用いて,評価している。