東日本大震災:福島第1原発事故 「観光風評」の賠償拡大 紛争解決センター、新たに6県対象
毎日新聞 2012年08月28日 東京朝刊
東京電力福島第1原発事故の損害賠償で、文部科学省の原子力損害賠償紛争解決センターは27日、国の指針で観光業者の風評被害の対象と明記されていない福島県以外の東北5県と千葉県についても賠償を認める内容の基準を策定した。金額は事故後の減収額の原則7割とした。
センターは、東電と被災者が交渉で合意できない時に仲介する。国の賠償指針では、風評被害の対象は福島、茨城、栃木、群馬の4県。観光業者にはホテルやレジャー施設、バスやタクシーなどの交通機関や土産物店などが含まれる。4県以外でも、事故との因果関係があれば賠償の対象だったが、対象外の地方の自治体や業界団体からは、賠償の対象地域にするよう求める声が相次いでいた。
基準に明記されたのは、青森、秋田、山形、岩手、宮城、千葉の6県。センターへもこれらの県の観光業者からの賠償申し立てが約30件あるなど、放射能汚染を恐れて観光客が減少している傾向を確認できたという。基準の「7割」は、東電との交渉次第で上下する可能性がある。
修学旅行など未成年者主体の団体旅行のキャンセルに伴う損害は、子供が放射能の影響を受けやすいことを心配した保護者の意向が大きいと考えられ、より事故との関連性があるとして全額を賠償の対象とした。【野田武】