ニホンカワウソ “絶滅種”に指定8月28日 7時2分
国の特別天然記念物のほ乳類、「ニホンカワウソ」について環境省は、調査を続けても30年以上、生息が確認できる情報がないことなどから、すでに絶滅したと判断し、「絶滅種」に指定することを決めました。
昭和まで生息していたほ乳類が「絶滅種」に指定されたのは初めてです。
ニホンカワウソは国内の川や海辺に生息する体長が1メートルほどのイタチ科のほ乳類で、かつては北海道から九州まで広い範囲で生息していました。
しかし、自然環境の悪化や良質な毛皮を目的とした乱獲で生息数が大幅に減り、昭和54年に高知県須崎市の川で目撃されたのを最後に確実な生息情報はありませんでした。
環境省は「ニホンカワウソ」について、国内で絶滅のおそれがある野生の動植物をまとめている「レッドリスト」で絶滅のおそれが高い「絶滅危惧種」に指定していました。
その後も調査が続けられましたが、環境省は、専門家とともに検討した結果、30年以上、生息が確認できる情報がないことなどから、すでに絶滅したと判断し、「絶滅種」に変更することを決めました。ほ乳類の「絶滅種」には21年前、明治時代までに絶滅したとされるニホンオオカミなど4種類が指定されていますが、昭和まで生息していたほ乳類が指定されたのは今回が初めてです。
ニホンカワウソ“清流を好む”
ニホンカワウソはイタチ科のほ乳類で、全長1メートル前後、体重が4キロから11キロほどで手足は短く、指の間に水かきがあるのが特徴です。
川の中流や下流、それに海岸近くに生息して、魚やエビなどを食べ、陸上で休むこともあります。
清流を好む動物で、豊かな自然環境がどれほど残っているかのバロメーターとされています。
二本足で立ち上がる愛きょうある姿が親しまれ、カッパのモデルとも言われていました。
かつては全国各地で見かけられていましたが、柔らかくて光沢のある良質な毛皮を狙って乱獲が行われ、農薬や排水による水質汚染、それに河川の開発による生息環境の悪化で生息数が激減し、昭和30年代に入ってからは四国でしか、その姿を見ることができなくなりました。
しかし、四国でも昭和54年に高知県須崎市の新荘川で目撃されたのを最後に、確認できておらず、その後、国や高知県が繰り返し調査を行ってきましたが、30年以上、確実な生息情報はありませんでした。
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