「インフラ担当者からすると、これだけのトラフィックを生み出すスマートフォン(スマホ)は脅威でしかない」――。iPhoneをいち早く発売したため、他の携帯電話事業者よりも深刻なトラフィック問題に直面するソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役員兼CTO(最高技術責任者)は、このように話す。ソフトバンクモバイルはiPhone発売以降、トラフィックが年々2倍以上のペースで増えているという。「昨年(2010年)は基地局をかなり増やしたが、1年でその効果が無くなってしまう」と宮川CTOは嘆く。こうした状況は、遅かれ早かれ、スマートフォンに舵を切った他の事業者も直面することだろう。
スマートフォンがもたらす変化は、ビジネスモデルの変化でもある。従来型携帯電話(フィーチャーフォン)の時代は、インフラの能力に合わせて事業者主導で端末のスペック(仕様)を決めることができた。しかしスマートフォンは端末ベンダー主導で、インフラの能力など考えずに作られている。加えて競争激化によって、各社はスマートフォンの販売予測を頻繁に上方修正している。明らかに事業者によるコントロールが効かなくなっているわけだ。となると、トラフィックの予測はなおさら困難になる。
このような状況下では、ソフトバンクモバイルはもちろん、NTTドコモとKDDI(au)、さらにイー・アクセスを加えた携帯4事業者はあらゆる手段を使って目前のトラフィック対策を進めるほかない。例えば無線LANによるオフロード(無線LANネットワークにトラフィックを逃がすこと)や、小セル化(1基地局のカバー範囲を小さくすること)、周波数利用効率の高いLTE(Long Term Evolution)への移行など、複数の取り組みを急ピッチで進めているところだ。
■新たな周波数帯への誘導で混雑緩和
トラフィックを運ぶメインの手段である周波数帯に着目すると、別の側面で各事業者の戦略が浮かびあがる。各事業者が保有するそれぞれの周波数帯へのトラフィックの分散だ。
道路に例えるとイメージしやすい。2GHz帯の道路(周波数帯)が混んできたので、1.5GHz帯という新しい道路にクルマ(端末)を誘導する。いわばバイパスのような効果によって、全体の混雑を緩和する形だ。同時にLTEを導入すればその効果はさらに高くなる。既存のHSPA(High Speed Packet Access)と比べて周波数利用効率が3倍高いため、同じ5MHz幅の周波数帯を使っても、3倍広い“車線”の効果が得られるからだ。
ソフトバンクモバイル、NTTドコモ、KDDI、iPhone、スマートフォン、フィーチャーフォン、LTE、イー・アクセス、無線LAN
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