スマートフォンの急速な普及によって、都心などで携帯電話ネットワークの混雑が目立つようになり、主要な事業者が対応に追われている。必死な形相なのは、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4事業者だ。
今年(2011年)、混雑解消の即効策として各事業者が積極的に取り組んできたのは、公衆無線LANを充実させ、トラフィックの一部をそこへ逃がすこと。そしてもう一つ。ドコモが3.9G(第3.9世代携帯電話)方式の一つであるLTEに、KDDIがモバイルWiMAX方式(UQコミュニケーションズのサービスを活用)に、スマートフォンの新製品を次々と対応させて、既存の3G(第3世代携帯電話)ネットワークでもLTEやWiMAXのネットワークでも通信できるようにした。LTEもWiMAXも周波数の利用効率が高い。ユーザーから見れば、最大データ伝送速度が速いというメリットもある。
だが、今後もトラフィックは増え続ける見通し。連載前編で見てきたように、各事業者ともさらに抜本的な対策が必要になる。新たな周波数帯の獲得だ。その周波数帯はグローバル端末がサポートする帯域(「プラチナバンド」と呼ぶ)であることが望ましい。さらに、KDDIが実施し始めたように、2.5GHz帯のBWA(Broadband Wireless Access。モバイルWiMAXやAXGPなどの方式がある)システムを運用する事業者と手を組み、そこにトラフィックを積極的に流すことも、混雑解消の有効な手立てとなる。
■現有する周波数帯が豊富なドコモとKDDI
携帯電話ネットワーク向けに現在、700MHz帯と900MHz帯を割り当てる準備を総務省が進めている。700MHz帯が利用可能になるのは2015年ころ。先に900MHz帯が2012年7月から利用できるようになる。
2つの新たな周波数帯に対し、4事業者はすべて強い関心を示す。ドコモの山田隆持社長は、「いずれかをぜひ獲得したい。先に割り当てが始まる900MHz帯にも手を挙げたい」と語る。KDDIも現状ではドコモと同様に、「いずれか」という表現で獲得意向を表明している。「帯域の逼迫状況を見ていると、できるだけ早期に新しい周波数帯を使いたい」(技術紹介本部 電波部管理グループ高野裕美子課長)と、まずは900MHz帯獲得に挑む可能性がある。
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