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ソフトバンクを軸に過熱する900MHz帯争奪戦 携帯4社の電波戦略(後編)

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2011/12/9 16:35
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 スマートフォンの急速な普及によって、都心などで携帯電話ネットワークの混雑が目立つようになり、主要な事業者が対応に追われている。必死な形相なのは、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4事業者だ。

2011-2012年冬春商戦向けの新端末を発表するNTTドコモの山田隆持社長。LTEに対応したAndroidスマートフォンも4機種紹介した
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2011-2012年冬春商戦向けの新端末を発表するNTTドコモの山田隆持社長。LTEに対応したAndroidスマートフォンも4機種紹介した

 今年(2011年)、混雑解消の即効策として各事業者が積極的に取り組んできたのは、公衆無線LANを充実させ、トラフィックの一部をそこへ逃がすこと。そしてもう一つ。ドコモが3.9G(第3.9世代携帯電話)方式の一つであるLTEに、KDDIがモバイルWiMAX方式(UQコミュニケーションズのサービスを活用)に、スマートフォンの新製品を次々と対応させて、既存の3G(第3世代携帯電話)ネットワークでもLTEやWiMAXのネットワークでも通信できるようにした。LTEもWiMAXも周波数の利用効率が高い。ユーザーから見れば、最大データ伝送速度が速いというメリットもある。

 だが、今後もトラフィックは増え続ける見通し。連載前編で見てきたように、各事業者ともさらに抜本的な対策が必要になる。新たな周波数帯の獲得だ。その周波数帯はグローバル端末がサポートする帯域(「プラチナバンド」と呼ぶ)であることが望ましい。さらに、KDDIが実施し始めたように、2.5GHz帯のBWA(Broadband Wireless Access。モバイルWiMAXやAXGPなどの方式がある)システムを運用する事業者と手を組み、そこにトラフィックを積極的に流すことも、混雑解消の有効な手立てとなる。

■現有する周波数帯が豊富なドコモとKDDI

 携帯電話ネットワーク向けに現在、700MHz帯と900MHz帯を割り当てる準備を総務省が進めている。700MHz帯が利用可能になるのは2015年ころ。先に900MHz帯が2012年7月から利用できるようになる。

 2つの新たな周波数帯に対し、4事業者はすべて強い関心を示す。ドコモの山田隆持社長は、「いずれかをぜひ獲得したい。先に割り当てが始まる900MHz帯にも手を挙げたい」と語る。KDDIも現状ではドコモと同様に、「いずれか」という表現で獲得意向を表明している。「帯域の逼迫状況を見ていると、できるだけ早期に新しい周波数帯を使いたい」(技術紹介本部 電波部管理グループ高野裕美子課長)と、まずは900MHz帯獲得に挑む可能性がある。

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ソフトバンクモバイル、NTTドコモ、イー・アクセス、iPhone、スマートフォン、KDDI、山田隆持、プラチナバンド、LTE、UQコミュニケーションズ、千本倖生、孫正義、ウィルコム、周波数

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ユームラン・ベバ氏
トルコのボアジチ大学生産工学部卒。同大学大学院で経営学修士号(MBA)取得。1994年ペプシコ入社。地中海東岸地域のゼネラルマネジャー、南東ヨーロッパ地域社長などを経て、2010年2月から現職。アジアや中東、アフリカなど20カ国以上で食品・飲料事業の指揮を執る。全世界のペプシコ女性社員の能力開発を推進。ペプシコ・トルコはフォーブス誌の「女性の活躍が著しい会社」ランキングでトルコ企業121社中、1位を獲得。2011年9月、フォーブス誌「世界で最も影響力のある女性100人」で25位に選ばれた。大学教授の夫と2人の息子がいる。

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