細野豪志原発事故担当相が、東京電力福島第１原発事故やエネルギー政策をめぐり、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏と対談した共著「証言　細野豪志」（講談社）が２７日、出版された。細野氏は同書で、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルに関して「技術は残し、世界に貢献できる道を探るべきだ」と述べ、国が関与して技術を維持すべきだとの考えを示した。

　細野氏は対談で「再処理技術の確立で（世界の）核不拡散に貢献でき、国連安保理常任理事国に核軍縮を迫れるかもしれない」と指摘。また「原発のない社会が実現できれば本当にいい。ただ現段階でそれが可能かどうか確信はない」と述べ、早期の「原発ゼロ」達成には懐疑的な見方を示した。

　細野氏は事故直後の悪化する事態に「坂道をどんどん転げ落ち、深い穴へ落下していくような心理状態」だったと回想。昨年３月１４日に同原発２号機が注水不能になった際は、吉田昌郎所長（当時）から直接電話で「これは駄目かもしれない」と言われたことを明かし、「私も菅（直人前）首相も言葉を失った」と当時の危機を振り返った。【笈田直樹】