これまで人気がいまひとつだったXiスマートフォンだが、MVNOが提供するデータ通信専用SIMカードと組み合わせて使いたい人の間で人気が高まっている
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 アキバの中古ケータイショップでは、中古スマートフォンの売れ行きに変化が生じている。以前は不人気だったNTTドコモのXi(クロッシィ)スマートフォンの販売が好調だというのだ。

 中古スマートフォンといえば、これまでは新しい端末への買い替えが購買理由の中心だった。古い端末からSIMカードを差し替えるだけで使えるようになる手軽さと、正規の販売店で機種変更をするよりも中古ショップで白ロムの端末を購入した方が安く済むことが幅広く支持されたためだ。

 だが、NTTドコモは、高速通信が可能なLTEに対応したXiスマホへの移行を急速に進めている。白ロムの入荷もXiスマホが中心となっているが、従来のFOMA製品のユーザーはSIMカードの差し替えだけではXiスマホが使えないことから、買い替え目的の購入者は減少傾向にあるという。

 最近増えているのが、データ通信専用SIMカードを利用するためにXiスマホを購入する動きだ。価格や通信速度の異なるLTE対応のデータ通信専用SIMカードを各社が相次いで投入し、選択の幅が広がったことで火が付いたようだ。

 じゃんぱら 秋葉原本店の宮島和弘氏は、「IIJmioやb-mobileなどが提供するデータ通信専用SIMカードを購入すれば、月2000円台で高速なLTE網が利用できる。キャリアのパケット定額プランよりもコストを安く抑えられ、解約時の縛りもない。通信自体は遅くてもよいという人は、128Kbps前後の低速タイプを選べば月額1000円以下の低価格で利用できる。通話用のスマートフォンやフィーチャーフォンを別途所有している人が、これらのデータ通信専用SIMカードとの組み合わせを目的に購入しているようだ」と説明する。

 LTE対応のXiスマホは、新製品が速いペースで投入されており、新しめの製品が比較的手ごろな価格で入手できることも、Xiスマホの販売を後押しする要因になっている。現在の売れ筋は、富士通東芝モバイルコミュニケーションズの「ARROWS X LTE F-05D」(2万2800円、中古)や、サムスン電子の「GALAXY S II LTE SC-03D」(2万2800円)など。いずれも、大型ディスプレイや高速CPUを搭載する2011年冬発売のハイエンドモデルながら、2万円台前半の手ごろな価格で購入できる。

2011年末に発売されたXiスマホならば、ハイエンドモデルでも2万円前後で入手できる
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人気のGALAXYシリーズも、競合のハイエンドモデルの登場で値下がりが進みつつある
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 最新モデルを求める動きもある。イオシス アキバ中央通店の植田文弥氏は、「タブレット的な使い方もできる大型ディスプレイ搭載スマホの人気が高い」と語る。売れ筋は、サムスン電子の「GALAXY S III SC-06D」(4万4800円、中古)や、「GALAXY Note SC-05D」(3万9800円、中古)だ。特に、GALAXY Noteは3万円台に下がったことで値ごろ感が増し、さらに人気が高まっているという。植田氏は「コンセプトが似ているLGエレクトロニクスの『Optimus Vu:』が登場し、白ロムがやや供給過剰になりつつあることが値下がりの要因の1つ」とみる。

 「ヘビーにスマホを利用しない人には、MVNOの事業者が提供するデータ通信専用SIMカードと白ロムのスマホの組み合わせがリーズナブル。手持ちのフィーチャーフォンやiPhoneを生かしつつ、最新Androidスマホを使いたい人にお薦め」(宮島氏)。MVNOの事業者が提供するデータ通信サービスは、テザリングが利用できないのが残念だが、価格重視で使いたい人は注目だ。

(文/白石ひろあき)

※価格情報は、すべて8月20日調べ。価格は変動する可能性があり、在庫切れになるケースもあります。特記なき場合は税込み価格です。