サムスン電子
1969年設立の韓国の総合電機・電子部品メーカー。韓国最大財閥サムスングループの中核企業。携帯電話やパソコンから、半導体やテレビ・白物家電まで手掛ける。「ギャラクシー」シリーズが好調なスマートフォン(多機能携帯電話)で世界シェアトップ。
(2012年8月26日掲載)
米スマホ訴訟 アップルに軍配 故ジョブズ氏の執念か サムスン 特許侵害 急拡大グーグルに暗雲
世界のスマートフォン(多機能携帯電話)市場で競争する米アップルと韓国サムスン電子による「2強」の24日の法廷対決は、米連邦地裁の陪審団がサムスンによるアップルの特許侵害を認定、サムスンに巨額の賠償支払いを命じるなどアップルに軍配が上がった。サムスンは米グーグルが開発する基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載する陣営の筆頭格。グーグルを敵視したアップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏の執念が勝利した格好だ。世界の多くのメーカーが参画し、急拡大したグーグル陣営の先行きに不透明感が漂い始めた。
▼4年VS3カ月
「アップルの4年間の投資と独創力を、サムスンは3カ月で模倣して取り入れた」。米メディアによると、アップルの弁護士は21日の最終弁論でこう訴えた。裁判では、アップルの「iPhone(アイフォーン)」とサムスンの「ギャラクシー」の類似性を強調。サムスンが両製品を詳細に比較していた資料も示した。
一方、サムスンはソニーや三菱電機の製品にアップル特許の「先行例」があり、特許は無効だと指摘したが、及ばなかった。1968年の映画「2001年宇宙の旅」の中で「タブレット端末が登場しており、アップルのiPad(アイパッド)は発明でない」と主張する場面もあった。
▼「裏切られた」
「アイフォーンの盗作だ。アンドロイドを滅ぼす」。ジョブズ氏の伝記によると、当初は良好な関係だったグーグルが携帯電話市場へ参入したことに、ジョブズ氏は「裏切られた」と感じていたという。07年のアイフォーン発売から1年余り後、グーグルはアンドロイドを完成。台湾HTCやサムスンが搭載製品を次々と発売した。
これに対し、アップルは10年にHTCを訴えた。そして11年4月、サムスンを提訴。アップルに半導体など中核部品を供給する重要な取引パートナーだが、踏み切った。
「成功したアンドロイドに対し、アップルやマイクロソフトが敵対的に作戦行動に出ている」。グーグル幹部は昨年8月、同社包囲網への対抗措置として、通信技術などの特許を多数保有する携帯電話の老舗モトローラ・モビリティを買収したと強調した。特許紛争に備えるためだった。
▼リスク回避も
今回のサムスンによる特許侵害の判断は、ハードだけでなくグーグルが提供するソフト部分も含んでいる。グーグルは別の技術で回避していくとみられるが、訴訟リスクを嫌うメーカーが「グーグル離れ」を起こす可能性もある。
アンドロイドを使ったスマートフォンを展開する日本メーカーは「今のところ当社の事業展開への影響はないと考えている」などと冷静な反応。ただ米メディアは、アイフォーンと似た操作性を持つ製品をつくる他メーカーも、アップルに対するライセンス料を支払わなければならなくなる恐れがあると報じており、予断を許さない。米調査会社IDCのストフェガ氏は「他社がもっと画期的なデザインを生み出す可能性もある」と述べた。成長市場での攻防はまだまだ続きそうだ。