韓国親書返送問題 首都大学東京・鄭大均教授に話を聞きました。
野田首相が韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領に送った親書を、韓国側が送り返す事態となったことなどについて、元韓国籍で2004年に日本国籍を取得した首都大学東京の鄭 大均教授に話を聞きました。
(親書を送り返すという異例の事態に、野田首相も『どうしちゃったんだろう』と少し困惑した様子で、24日は記者会見を開くということです。李大統領をはじめとする韓国の人たちは、日本に対してどうして礼儀を欠くような行動が続いているのですか?)
今回の大統領の行動とか政府の行動には、確かに過激な面、常軌を逸しているという、そういう表現。韓国のメディアにもありましたけれども、あるのは確かですけれども、ただ日韓関係には、歴史道徳的な役割分担みたいなものが、かなり長い間積み重ねられてきて、その過程でなんというか、基本的に日本というのは逃げの姿勢で、その対応とする、しようとする、それに対して韓国側のほうは、そういう日本を逃すまいと、襟首をつかんで告発・糾弾をするという、そういう心理道徳的ともいえるような関係というのが続いていましてね。なんていうか、日本側は韓国側の寛大な行動に遭うと安心するが、それが必ずしもいつでも充足されるわけではないという経験もコンスタントにしているわけなんです。基本的には、今までは歴史認識のテーマで韓国側が日本側に謝罪を要求するという、そういう歴史が少なくともこの20年ぐらいは続いてきていますよね。そういう過程で、実は今回は過激なケースでしたけども、似たような経験というのは、私は日本側はこれまでも経験しているし、韓国側はそういう日本に対する、日本の襟首をつかんで、告発・糾弾するという、そういう行為によって、あまり損失を経験したことがないという意味では、たぶん似たような経験というのは、これからも続いていく可能性はあるというふうに考えていますけれども。
(ロンドンオリンピックの男子サッカーでも、日韓戦で韓国の選手が、『竹島は韓国の領土』とするプラカードを掲げるパフォーマンスありました。韓国では、こうした行為が許される風潮なのですか?)
これはむしろ、だから韓国の国内でこれまでやられていた反日パフォーマンスを、国外でも実践したということだと思うんですよね。今回のですから、スタジアムでは、韓国の留学生がその準備していたプラカードみたいなものをパク選手に渡して、そのプラカードを持って走ったということですよね。それに対して、韓国では一瞬の過ちというような形で、やや批判的な見解がないわけではないんですけれども、一方ではその行為について、偶発性を強調して、政治的な意図はなかったんだ、したがってそれによって、パク選手がいろんな制裁を被ることがないように、外交的な圧力をかけなくちゃだめだという、そういう議論がありましたけれども。基本的にはですから、韓国の国内で、隣国に対する反日パフォーマンスをこれまで従来やってきて、それがほとんど国内においても、あるいは日本からも批判を受けてこなかったということの、ある種の代償だと思うんですよね、今回のIOCによる議論というのは。
(そういうことが続く、たび重なる挑発行為に、日本はこれからどういうふうに対応していけばいいと思われますか?)
やっぱり、韓国からのいろんな日本に対する、日本側が非合理と考える行為について、日本側が自分の意思を表明していくという、その積み重ねが全くなかったわけですから。
(強く抗議していくということが重要?)
強く抗議するというか、それぞれの立場で、研究者の場合は研究者の立場で、そういう国際シンポジウムがあるようなときに、そういう立場からの意見表明があってもいいと思いますし、外交官、韓国に例えば、韓国大使館というのは、広報活動もやっているはずですから、そういうレベルでの活動も必要だと思いますね。